親子はじめました

検索: 心臓病 末期症状 ページ44

「ほら、もう泣くな。ブサイクが更に崩れんぞ」

『うるさ、ブサイクにいわれたくないし、』


泣き止んだのが分かったのか
ユンギがふっと笑って
胸に顔を埋めたままの私の頭に顔を寄せた


「腹減ったな。
今日の飯なに？カレー？」

『ああ、今日…は…』


顔をあげてハッとする

あれ、なんか近くない？


「なんだよ」

『……えっ なんで私達抱き合ってんの…』

「お前から抱きついてきたんじゃん」


真顔のままそう言って私を見つめるユンギ
ねえまってだから近いんだって…

死ぬほど恥ずかしいのに
緩まない腕のせいで全然距離がとれない


『あ、あれは…なにぶん取り乱していたゆえ…』

「なに口調だよそれ」

『ちょっ、 ち、近い！』

「なに照れてんの」


顔が見れなくて腕の中でもぞもぞする私に
いつもの意地悪い顔で笑う


『、もういいから離してよ』

「やだ」

『やだぁ？！』


ぎゅっと力が入った腕のせいで
離れるどころかさらに縮まる距離

むりむりむりむり
だめ、恥ずかしすぎてほんとに死ぬ


『ちょ、ユンギっ』

「ん？」


ん？って。
なにそれ私のこと殺す気？


「どうせならキスでもしとくか？」

『は、』


その言葉に固まったと同時に
玄関からガチャガチャと大きな音


「ただいまぁー 」


『っ！おかえりグク！』


一瞬緩んだ隙にその体を突き飛ばして
グクの声のする玄関へダッシュする


「ままどうしたの？」

『ど、どうもしない』


靴を脱いでいるジョングクを後ろから勢いよく抱きしめる
し、死ぬかと思った…


「お前なぁ、本気で突き飛ばすなよ…
頭打ったし。割れたかと思った」

『やめてこっち来ないで変態』

「あんなの冗談じゃん 怒んなよ」


なにその心臓に悪い冗談！
死人でるよ？！


「ぱぱおかえりぃ！ぐくさみしかったよ！！」

「ほんとかよ。
声デカすぎて寂しさ伝わってこねぇんだけど」


走り寄るグクを抱き上げて笑うユンギ


「みて！ ててくんとどんぐりつかまえたぁ！」

『どんぐりは捕まえたじゃなくて、拾っただよ』

「ひろった！」

「なんで俺のポケット入れんだよ」

「ぱぱにあげるー」


さっきまで曇っていた空気が嘘みたいだ


こんな光景がずっと続けばいいな

グクが笑って、私達も笑って
そうやって過ごせていけたらいい。


何日でも、何年でも、何十年でも
あの人が、迎えにくるまで
ずっとそうやって待ってようね、グク。

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