61 . 戻ったはずの日常 ページ12
大貴side
あの一件から月日は流れ、楽しみにしていた夏休みも、いつの間にか終わりを迎えてしまっていた。
俺たちふたりの身体は順調に回復し、今では以前と変わらない生活を送れるまでに
……………なっているはずだった。
俺の左目は、日を追う事にゆっくりと、でも確実に視力を奪われつつある。
こうなることは昔から言われてきたことだし、覚悟はしていたつもりだった。
それでも…
「山田の顔が見えなくなるのはやだな、」
.
とことん弱気になっている自分に驚いた。
いや、これがホントの俺なのかも。
独りが怖くて、明るく振舞って"良い奴"を演じる。
そのおかげで俺は人気者になれたし、友達だって沢山いる。
でも…
本当の俺を知ってるやつなんて、たったの一人もいないんだよな。
あの日以来、山田は一度も俺に声を聞かせてくれたことは無い。
いつか山田が俺の世界から消えてしまったらどうしよう
最近はそればっかり考えるようになっていた。
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作者名:朔 | 作成日時:2020年2月1日 23時