鬼さん四十三人 ページ46
[お遊びわ終わりだ、残り少ない同族同士で争うのは目覚めが悪い…。]
神威の拳を受けた手は風圧で切れ血が出ていた。
鳳仙の方は番傘が耐えてくれた…衝撃はそこそこと言った所だろう。
番傘を畳み阿伏兎が鳳仙と話しているのを眺める。
晴太が居ない…逃げたみたいだな無事だと良いが。
[興醒め……殺すにも値しない…か。]
神威と鳳仙の話を聞いていて不思議に思ったのだ神威は殺すにも値しないと言った…神威の殺したい基準が分からない。
取り敢えず手当をしに阿伏兎について行く。
[全く……旦那と団長相手にこの程度で済むとは流石だねェ。]
[そうか?もうちょっとでも早ければ無傷でも行けたと思うけどな…。]
[A、なんで止めたの……怪我させちゃったじゃん……。]
[神威を止められるのは俺ぐらいだって阿伏兎が言ったからだな……怪我は想定内だ…軽いし心配しなくていいぞ?]
[そういう事じゃないの!俺がAに怪我させたくなかったの…Aの血は見たくないんだヨ……。]
と俺の背中に擦り寄ってくる神威……こう言う時は猫みたいだな…。
[……ん?外が騒がしくなったな…。]
[誰?俺とAの時間を邪魔するのは。]
銀時達だな…さて……。
[行こうかねぇ……お日さんを取り戻しに。]
[俺ァAと戦わなくちゃいけねぇのか?]
[いや、でも気を付けてな…下手したら死ぬぞ阿伏兎。]
[おぅ……。]
阿伏兎より先に部屋を出て銀時達が居るであろう場所に向かう。
[銀時!]
[兄貴!!]
[行くぞ、鳳仙の元へ案内する。]
行こうとすると障子が吹っ飛び神楽が消える…早かったな…。
[阿伏兎……。]
[まさか本当に会うとはねェ……おじさん死んじゃうよ。]
[ひぃふぅみぃ…一人はやったとしても一人足んねぇな?]
今度は神楽が阿伏兎を吹き飛ばし阿伏兎は部屋の奥へと飛んで行った。
[次会う時は…。]
[日の下で。]
[上等だ。]
[行くぞ、銀時…二人共健闘を祈る。]
二人で廊下を駆ける…。
[兄貴…どうして此処に。]
[晴太が心配で着いて行ったんだ…その晴太は逃げたみたいだから安全かは分からない。]
[……死んでねぇよな?]
[死んでない生きてるさ。]
暫く走っていると微かに晴太の声と何かの音が聞こえた。
[こっちか!銀時もう少しだ!]
[あぁ!]
鳳仙を見つけ二人して木刀を投げる…。
鳳仙は避けたがちょうど扉に当たり扉が開いた。
そこに居たのは涙を流す日輪姐さんだった。
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作者名:shell | 作成日時:2019年3月19日 18時