鬼さん四十二人 ページ45
[吉原に巣食うこの鳳仙が邪魔だと…主らにこの鳳仙を倒せると?]
[いや、あんたと言えど春雨と正面から闘う気にはなれんだろ……よく考えて行動した方が身のためだ。]
[そいつは困るな…そんなんじゃ俺のこの渇きはどうすれば良い?女や酒じゃ駄目なんだよ…俺はそんな物要らない……。]
壁にもたれてそう言う神威、辺りには一触即発な空気が漂う…晴太は冷や汗をかいている。
[阿伏兎、番傘って夜兎の奴だよな?((ボソッ…]
[あぁ、使うならほれ…持って来といてやったぞ((ボソッ…]
何処から取り出したのか目の前に差しだされる番傘…。
それを引き気味に受け取る。
神威と鳳仙が動き血の臭いが鼻腔を掠める。
[修羅の血…己と同等それ以上の王なる血を持って初めて……俺の魂は潤う…。]
そう言う神威の目はいつしか会ったあのハゲ頭の目を彷彿とさせる目だった。
[懐かしいねェ…あのハゲそっくりのバケモンだな……((ボソッ…。]
[何か知ってんのか?((ボソッ…]
そう小声で聞いてきた阿伏兎にだけ聞こえるよう話す。
[神威の親父…つまり海坊主だ俺は会ったことがあってな……その時は見てるだけだったがとんだバケモンだったんだ、特大のエネルギー砲を番傘一つで防いでた。]
[その息子の団長もバケモンって事か……((ボソッ…]
疲れ果てた目と呆れの色が出てる阿伏兎はやれやれと言った感じだ。
[貴方も似ているよ、外装はごつくても中身は酒と女しか無い…真の強者とは強き肉体と強き魂を兼ね備えたもの……何も求めず強さだけを求める俺にアンタ達は勝てやしないよ!]
そう言って走り出す神威。
[抜かせ童!!]
[[止めろ神威/団長!!]]
俺や阿伏兎の制止を聞かず突っ込む神威と鳳仙。
[始まったな…本格的に、阿伏兎……神威は俺にしか止められないって言ったな。]
[あ、あぁ……。]
[止めてやる…でも少し見てからな。]
阿伏兎に溜息をつかれるが問題は無い…阿伏兎の纏う感情が呆れの時の色じゃないからだ。
[………俺達の居場所は戦場ですよ…。]
そろそろだな…髪留めを解き腕に括る……。
[フッ……止めるだけ…力加減は間違えるなよ……俺。]
短く息を吐き自分に言い聞かせる…前に力加減を間違えて止めるどころか吹き飛ばしてしまったのだ…それだけは避けたい。
タンッと地面を蹴り鳳仙の方へ番傘を広げ神威の拳は素手で受ける…。
辺りに風が巻き起こり瓦礫が飛んで行く……。
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作者名:shell | 作成日時:2019年3月19日 18時