鬼さん三十六人 ページ38
[ガキじゃない晴太だ童貞。]
そう言った瞬間新八が晴太の肩を掴み物凄い勢いで話し出す。
[てめぇ今なんつった!意味分かって言ってんのかコノヤロー!!]
[落ち着くアル…童貞。]
ここで更に神楽が爆弾を投下した……。
[童貞舐めんな!三十歳まで童貞貫いた男わなァ!ゴットハンドと呼ばれ……。]
[あーうるせぇ!新八!落ち着けよ!]
[データに書き加えて置きます…三十歳までど…]
[[いるかそんな情報!]]
俺とお登勢の姉御がタマちゃんにツッコミを入れる、お登勢の姉御はタマちゃんを殴ってるが。
[まぁまぁ…離してやれよぱっつぁん…ガキの分際で女に興味持つなんざ大したもんだよ?英雄色を好むってね。]
[しかも女の為に金集めるのにスリなんざ末恐ろしいガキだぜ。]
てめぇそのガキにパフェ奢らせてだだろ……お前も怖ぇよ頭どうなってんだよ。
[親がいないオイラが金を稼ぐ方法つったら限られてるだから……。]
[吉原で女に会うっつったら莫大な金が必要だろ?その日を生きるのもギリギリのお前が何でんな事やってんだ?]
[正直に話してくれねぇか?晴太。]
すると晴太は俯きながらも話してくれた。
[オイラ子供の頃に親に捨てられたんだ…親の顔は覚えてない物心ついた時目の前にあったのはオイラを拾ってくれたじいちゃんの顔だった、そのじいちゃんも三年前に病気で死んじまった…その死の間際にじいちゃん言ったんだ。]
[「恥じるな晴太…お前は捨てられたんじゃない……救われたんだお前の親は闇の中からお前を救ってくれたんだ…誇りに思え……お前の母は今も、常世の闇の中日輪の如く燦然と輝いておるわ。」]
[母ちゃんかも知れないんだ……あの人オイラの母ちゃんかも知れないんだよ!]
バンッと机を叩き……目に涙を溜める晴太。
[話がしたいんだ…でも何度呼び掛けても叫んでもあの人はオイラの方を見ようともしない、手なんかまるで届かないんだ……だからオイラ、例え一時でもあの人に会おうと客として…あの人に会おうって必死にお金を手に入れようと何でもやった泥棒見たいな馬鹿な真似まで。]
[本末転倒だよ。]
泣き出した晴太を見てお登勢の姉御が言った。
[母親に会う為にそんな真似して母ちゃん喜ぶと思うかい…働いて来な此処で…吉原の女に会えるだけの金は出しゃしないけどねェ、少しは足しになるだろうさァ。]
[だからもうスリなんて二度とするんじゃないよ。]
それに泣きながらお礼をする晴太。
132人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:shell | 作成日時:2019年3月19日 18時