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伍拾仇 ページ12

…ど、どうしよう。

お舘様に促されるままそのまま帰ってしまったけど、


…着付け、出来ないんだよな。




鬼殺隊に入る前までは一応着てはいたけども、布の切れ端を自分で縫って繕った物だから、ちゃんとしたものではない。いつも適当に着ていた。だから、ちゃんとした着物の着方なんて分からない…。


折角お舘様が下さったものだから着ていかないと失礼に値する。でも、…。


私の頭に胡蝶さんが浮かんだが、…あんなに失礼な態度で出てきてしまったし…。
着物どうこうよりも今日は蝶屋敷に帰れないな…。



申し訳ない。謝りたい。私の心が弱いばかりに。気にしてしまっているかな。嗚呼どうしよう。堂々巡りだ。なんにも考えがまとまらないし進まない。


心が痛く、重くなってくる。







どうしようと思いながらも取り敢えず自分の屋敷に行こうと思った。
先程胡蝶さんの所から走って出てきてしまったせいで全く考えられなかったこの前の事も考えながら行こうと思った。


何となく、柱の皆さんに会いたくないなと思ってしまった私は走って行こうと思って、周りを軽く見渡す。




もしも近くに人がいて砂埃を掛けてしまったり、と

怪我させてしまっては大変だから。


すると、川を挟んで反対側の通りに不死川さんを見つけてしまった。


そして、目が合ってしまった。









何故だろうか。何故かは分からないし、とてつもなく失礼だが、私は反射的に逃げ出していた。









「っ、ア゛っ!!ちょっ、待てっっ!!」





「っっ、ごっ、ごめなっっ、!さいっっ!!」





「待てっつってんだろうがァ!!!」



グイッ




しかし、同じ柱という立場とはいえ、高価な着物を抱えているというプレッシャーで、転んだらどうしようとか考えていた私はあっさり捕まってしまった。




ど、どうしよう。こ、こわい…!!





「逃げんなやァ」




不死川さんはそう言ってニヤという表現が正しいような笑顔を浮かべた。


そしてそのまま私は不死川さんに引きずられて行った。







わ、私何かしたのかな。こ、こわい。こ、ころされる。どうしよう。お、おそろ、しい。


私の体はカタカタと小刻みに震え続けた。




「わ、私、な、にか…?」




「…チッ、……後で説明してやる。黙って着いてこい。」




不死川さんはそう言うと、ずっと黙っていた。
私もか細い声ではいと答えた後ずっと黙っていた。

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ハルル - とっても面白いですね。続き楽しみにしています! (2021年4月2日 16時) (レス) id: 3ed8831ca6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年1月13日 21時

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