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伍拾捌 ページ11

「…以前、私に命じてくださった任務についての詳細を、聞きに参りました。」


 


此処は産屋敷邸。

結局、こんな状態で此方に来てしまった。




私は、下げていた頭を上げ、正面にいるお館様に向き合った。
お館様は、いつもの穏やかな表情を浮かべていた。



「うん。
私もそろそろ連絡をしようと思っていたんだ。




輝利哉、おいで。」


「はい。」


お館様がそう声をかけると、奥の襖が開いて、輝利哉様がいらっしゃった。

私は再度頭を下げた。




「頭をお上げください。
今回は私の為に時間を割いて頂きありがとうございます。」


輝利哉様の言葉に頭を上げる。



「いえ、これしきの事、全然…。」



しっかりなさっている。
自分よりも幼いというのに。


自分が駄目に思える。




「A。」


「っ、はい。」


輝利哉様に向けていた体を、お館様の方に向きなおす。

無意識に強く握っていた手に、汗が滲んだ。




「少し急になってしまうんだが、明日でも良いかな?
何か、予定でもあるかい?」


「いいえ。ございません。

はい。承知致しました。」



そうかい。良かった。と声を漏らしたお館様が言葉を繋げた。


「最近、鬼の動きが変わってきているだろう?
今後、何か起こるような嫌な予感が少ししてね。

なるべく早く、案内してほしいと思ったんだよ。」




確かに、最近鬼の動きが可笑しい。

新人隊士が鬼無辻と接触したり、以前はなかったのに鬼が群れていたり。




安全なうちに輝利哉様に外を教えておきたい、という考えだろう。






「はい。了解しました。」




「ありがとう。では、明日の朝にまたきてくれるかな。」



「はい。」



「明日はAも楽しんでくるといい。

年頃の女の子なんだから少しははしゃいでもいいんだよ。買い物等もしておいで。」


「は、はい。お心遣い感謝します。」


「うん。それじゃあ身体に気をつけて。」


「はい。お館様も、お大事になさってください。」



「ありがとう。


嗚呼、そうそう。輝利哉。」


「はい。」


輝利哉様は返事すると、自身の後ろから少し大きい包みを出した。

なんだろう。

「お館様。こ、これは、?」


「着物だよ。
Aは自分の着物持っていないだろう?

隊服で行くのもなんだし、明日はこの着物を着ていくといい。」


申し訳ない。でも、お館様のご好意…。


「ありがとう、ございます。」

私は、震える手で受け取った。

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ハルル - とっても面白いですね。続き楽しみにしています! (2021年4月2日 16時) (レス) id: 3ed8831ca6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年1月13日 21時

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