初給料 ページ28
「じゃあ監督さん、行ってきます」
学生組を送り出し、俺も玄関にて靴を履く。
あの日至さんからスマホを借りた俺は、皆が学校の時間帯を狙って真っ先に日雇いのバイトを入れていた。
今時前日からでも雇って貰えるとこって結構あるんだね。
まぁこの世界だからかもしれないけど。
「行ってらっしゃい!頑張ってね!」
今日も笑顔の可愛い監督さん。
言い忘れてたが、こうして監督さんが俺に対してタメ口で話すようになったのはつい昨日の事だ。
俺の年齢を知って、咲也達同様話し方を変えてくれたらしい。
何この新婚夫婦感舞い上がりそう。
この笑顔の為なら今日のバイトである引越し屋の手伝いとか軽いもんだ。
「夕飯の支度までには帰りますから」
最後にそう告げて家を出る。
財布もスマホも服も、何一つ自分の物を持っていない俺が今最もするべき事は資金稼ぎ一択。
よし、二十一歳頑張ります!
※ ※ ※ ※
「いや〜助かった!また頼むよあんちゃん!」
「こちらこそお願いします!」
夕方。予め言われていた全ての荷物を運び終え、おじさんから約束のブツを受け取る。
(これで一先ず安心だな……)
とりあえずこれだけあれば手頃な服や食料は買える筈だ。日雇いバイト最高!
というか朝冷蔵庫開けてみて思ったけど、なんであんな食材入ってるんだろうな。
一千万の借金とは一体。
さんかくおばけなんかよりも確実にこっちのが劇団七不思議として取り扱うべきだと思うぞ俺は。
「にしても引越し業者の手伝いってのは良かった」
これに関しては前の世界でも日頃から鍛えていたし、かなり俺に合っていた良い仕事だったと思う。
もちろん一番は舞台だと思ってるけど。
まだ人気が出てなかった頃はこうしてバイトして生活してたし、ずっと稽古して来た分体力には大の自信がある。
(そう言えばメイクとか衣装作成とか、この演劇の街ならではのアシスタント系も結構あった筈)
今度はその辺を主に受けて行こうと思う。
前の寮じゃ姉さん方にメイクも衣装作成も無理やり手伝わされてたし。
と言っても素人に毛が生えた程度だろうから、アシスタントとしては役不足かもしれないけどまぁその辺は何とかするさ。
てか姉さん方俺がこの世界に来ること知ってたの?ってくらい役に立つこと教えてくれて、俺はただただ感謝しかありません。
頑張ってあのカレーともちゃんと向き合うから見守ってて下さいませ。
「せっかくだし、今日からの稽古用に色々道具揃えておくか」
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祐(プロフ) - 時雨さん» お返事が大変遅くなり申し訳ございません。もしよろしければどの話か教えて頂いてもよろしいでしょうか?分かり次第すぐに編集しようと思います┏○ペコ (2018年10月3日 14時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 役不足っていうのは自分には役目が軽過ぎで満足できないなんて言うときに使う言葉ですよ (2018年9月10日 14時) (レス) id: cf954cb7db (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - 漣凪さん» ありがとうございます!今は面白いの一言が続ける気力になっております。むしろ妄想して貰えるなんて嬉しさで爆ぜそうです。頑張ります! (2018年3月3日 12時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
漣凪(プロフ) - とても面白かったです!ついつい自身でこの先の展開を妄想してしまいます(←変人)。更新頑張ってください (2018年3月3日 1時) (レス) id: 87e449a00b (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - 茜さん» ありがとうございます!文字数制限に毎度ひいひい言っておりますが頑張ります (2018年2月25日 21時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:祐 | 作成日時:2018年2月23日 1時