家政婦一日目 ページ27
次の日の朝。
皆が学校やら仕事やらと起きてくる前に、俺は一人朝食の用意を進めていた。
フライパンを熱し、ハムを軽く焼いてから上に卵を投下する。
本日の朝食は定番中の定番であるハムエッグだ。
「よし、こんなもんだろ」
香ばしく焼けたパンを皿に乗せながら、弱火で熱していたフライパンにも気を配る。
ちなみに、昨日のカレーならそこにある鍋に入ったままだ。
本編通りなら朝もそのまま残りのカレーを食べているのかもしれないが、普通に朝からカレーなんて食ってられるか。胃もたれ案件だわ。
「ふぁ……ねむ」
ぱちぱちと弾けるハムと卵の音を聞きながら、大きな欠伸を一つ。
(昨日全然寝れなかったからな……)
寝られなかったというか、普通にあんな事があって寝られる訳がない。
舞台に立つのが怖いと思った事なんて生まれてこの方一度も無かったのが、昨日いきなり拒否反応を起こし始めたんだから。
身体が言うことを聞かなくなって、呼吸すら上手く出来なくなる。そのあまりの怖さに、情けないが昨日はずっと布団を握りしめ震えていた。
「……何とかしないと」
両手で頬を叩き、気合いを入れる。
まだ時間は沢山あるし、なにより大好きな舞台を怖がったままで終われるか。
決意を固めていると、騒がしい足音と共に開かれる談話室の扉。
「ほら真澄くん!ネクタイ締めて!Aさんおはようございます!」
「……眠い」
「オハヨウダヨ〜!」
「あれ!?カレーの匂いがしない!?」
ぞろぞろ現れた面面に朝から元気だなぁと感心しつつ、完成した料理をテーブルへと運ぶ。
「皆おはよ。朝食もう出来てるから」
「Aくん、わざわざ用意してくれたの!?」
「俺今日からここの家政婦なんで。とは言っても簡単なものですけど」
「ううん!すごく美味しそうだよ!」
「まともな朝食だ……!!」
どうやらそれなりに高評価を得られたらしい。
綴に関しては俺がまともな人間と分かってくれたみたいで心底嬉しいよ。
これぞシンプルイズベスト。
用意が終わった人から席に着き、各々食事を取り始める。
「美味い?」
「はい!すごく美味しいです!」
冷蔵庫にあった牛乳を注いでやりながら尋ねると、咲也が全快の笑顔で答えてくれた。可愛いがすぎるぞ。
「そう言えば学生組って昼はどうしてんの?」
「俺達は学食とか購買とかですね!」
「俺もそんな感じっす」
マジで?毎日購買とか金きつくない?
一刻も早く金貯めて弁当でも作ってやるか。
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祐(プロフ) - 時雨さん» お返事が大変遅くなり申し訳ございません。もしよろしければどの話か教えて頂いてもよろしいでしょうか?分かり次第すぐに編集しようと思います┏○ペコ (2018年10月3日 14時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 役不足っていうのは自分には役目が軽過ぎで満足できないなんて言うときに使う言葉ですよ (2018年9月10日 14時) (レス) id: cf954cb7db (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - 漣凪さん» ありがとうございます!今は面白いの一言が続ける気力になっております。むしろ妄想して貰えるなんて嬉しさで爆ぜそうです。頑張ります! (2018年3月3日 12時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
漣凪(プロフ) - とても面白かったです!ついつい自身でこの先の展開を妄想してしまいます(←変人)。更新頑張ってください (2018年3月3日 1時) (レス) id: 87e449a00b (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - 茜さん» ありがとうございます!文字数制限に毎度ひいひい言っておりますが頑張ります (2018年2月25日 21時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:祐 | 作成日時:2018年2月23日 1時