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47話 ページ47

翌日昼過ぎまで寝ていた憐歌は、だるい身体に鞭打って部屋からリビングまで降りた。階段の途中で、鼻腔を擽るいい匂いに気づく。


「起きたか……っ、おい、憐歌!」
「だらしねぇぞ、なんだその格好は」
「………ぁ?」


こちらを振り向いたかと思いきや光速で顔を逸らすミケと、不機嫌な声音のリヴァイに首を傾げた。改めて自分の格好を見る。部屋着にしているTシャツと、ハーパン。いつもと変わらないはずだが。


「お前、下着くらいつけておけ」
「……あぁ、なるほど」


今朝方、部屋に戻った時圧迫感が嫌で外して、そのまま出てきてしまったという事に今更気づいた。面倒そうに髪を掻き回し、仕方なく部屋に戻って着替えて再びリビングに降りると、湯気を立てているパスタが食卓に並んでいた。


「琴音は?」
「とうの昔に仕事に行ったぞ」
「次の日に残さないという意味では、アイツの方が大人だな」
「うるせ。…いただきます」


男二人の視線をさらりと流し、パスタを頬張る。食事の間は終始和やかだった。昼食を終え片付けも終わらせたあと、憐歌は二人をソファに座らせた。


「頼みがある」


急にきりだされた話に、リヴァイとミケが首を傾げる。


「二人が良ければ…なんだけど、取材をさせて欲しい」
「「取材?」」
「あぁ。実は次の仕事が、新しいゲームシナリオを一から考えるものでな。世界観やらキャラを設定しなきゃいけねぇんだが、ぶっちゃけネタが無いんだ。で、思い出したのがあんたらの世界の話」
「なるほどな、こっちの世界で言えば、下手な創作よりいい話になると踏んだのか」
「そーいう事。それに実際そこで暮らしていたあんたらの話があれば、必要な現実味も持たせられる。…どうだ?」
「取材と言うが、具体的に俺たちはどうすればいい?」
「ありのままを話してくれればいい。生い立ち、生活スタイル、友人や仲間のこと。…ただ、その…」


それまで流暢に話していた憐歌が、口ごもった。原因は『彼らが死んでいるかもしれない』というリヴァイの仮定。


「…俺は構わん」


その不安を拭い去るよう、ミケが口を開く。


「俺に出来ることなら、いくらでも協力しよう」
「世話になっているのは変わらねぇからな」


賛同を示すリヴァイと僅かに微笑むミケに、憐歌は改めて頭を下げた。


「ありがとう。感謝する」


(これがきっかけで、わかり会えればいいなという、希望が出てきた)

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カイリ(プロフ) - 結衣さん» 私からも、お知らせありがとうございました。ご冥福をお祈りします (2017年8月30日 21時) (レス) id: e91033920e (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 結衣さん» お知らせありがとうございます。お名前を外させていただきました。リル様のご冥福をお祈りします。 (2017年8月30日 9時) (レス) id: 0aa059a6b7 (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - リルは私の友達なのだけれど、この作品が出来た頃に交通事故で遠い空に旅立ったのだからこの小説のことはどうにもできません (2017年8月25日 0時) (レス) id: 12a171e478 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カイリ&灯霧 x他2人 | 作成日時:2017年5月13日 22時

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