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「待って!!ねぇ、待ってよ!!」

後ろからずっと声がする。
全力で走って彼奴から逃げる
逃げて逃げて逃げて
息があがって、呼吸が苦しくなって、足が痛くても逃げた

恐怖心と疲労感から汗が止まらない

額を流れる汗と雨が混じって気色悪い。腕で拭えど拭えど流れてくる

走って走って走って行くと
又、後ろから声がした

「ねぇ、なんで逃げるの?何もしないから止まってよ!!!」

彼奴の声がもうおかしい。あり得ない程野太く、怒りに満ちている

しまった、袋小路だ!!!

逃げ込んだ先は行き場のない袋小路。
今此処を出たらきっと彼奴に殺されるだけだ
夢中になりすぎて後ろばっかり見て走っていた。前を見なかった俺の不注意だ

結局、全速力で走っていた足は急停止なんて出来ず壁に思いっきり体当たりをする

「やっと…止まってくれたのね…」

痛みに肩を抑え乍彼奴と真向かう

「ねぇ、如何して止まってくれなかったの?」

「はっ、その台詞はその手の業務用カッターをしまってから聞くべきだな。」

そう、そいつの手には業務用のカッターの刃が剥き出しになって構えられている
常日頃錆たカッターを持ちあるいて居たが、まさか、業務用迄持ちあるいているなんて思いもしなかった

あんなので切られたら体が持つ訳がない
なんとかして逃げないと…

「私さ、もうね、死のうと思うんだ」

突然彼奴が喋りだした

「私…好きな人がいるんだ。でもその人に振られちゃってね」

何も言わず黙って睨み付けた

「そんな顔しないでよ。でね、私考えたの…」

雨の音が大きくなって聞こえる

「好きな人も殺して私も死ねば一緒になれるって…」

「狂ってる…」

「狂ってるのは御互い同じ。一緒」

「…………」

「ねぇ、あんたの夢を叶えてあげられるよ?死にたがり」

「生憎だけど、俺は死にたがりを辞めたんで。それに、誰かの為に死ぬなんて御免だよッ」

体当たりで彼奴を壁にぶつけ、急いで袋小路を出た

カンカンカンと近くで音がする

踏切だ。ちょうどいい

急いで走り、閉まる寸前何とか踏切を渡りきった

「待って。待てよ!!」

踏切の向こうから彼奴が此方を見ている

勿論あの黄色いバー…っていうのか?あれは降りているから、安全だろう

「………。」

何か彼奴が行った気がした。
瞬間。彼奴が黄色いバーを乗り越えてゆっくりと此方にやって来た

は?、嘘だろ

電車はもう其処まで来ている

おい、やめろ。それ以上来るな…



「来るな!!!!!!!!!!」

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設定タグ: , シリアス , ヤンデレ気味   
作品ジャンル:純文学, オリジナル作品
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作者名:海が見たい | 作成日時:2017年5月7日 21時

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