イレギュラー (ページ29)

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五章憧れの刃③ ページ29

ー天宮高等学校 2年C組放課後
泰斗は一人で教室に残り、テスト勉強をしていた。

(えっと……ここの問題はこうでっと……あれ？この時なんの公式を使うんだっけ？)

「あ、あの……!!」

泰斗が勉強に集中していると、聞き覚えのある声が聞こえた。声の方を振り返ると、そこには未果の姿があった。

「ああ、君ってたしかこの間の……」

「すみません……泰斗先輩。テスト勉強中に」

「全然大丈夫だよ。それでなんの用でここに来たの？」

「え、えっと……この前先輩たちが戦っていたあの化け物ってなんなんですか？なんで先輩たちが戦っているんですか？」

「……なんだその事か。ごめんね。その事については話すなって言われているんだ」

「そ、そうですか……あの……時間があれば、私の悩みを聞いてほしいんですけど……」

「悩み？俺でよければ聞くよ？」

「ありがとうございます……実は私には特殊な力があるんです」

「っ?!……特殊な力？それってどんな力なの？」

「えっと……遠くのものを見ることができる千里眼の力なんですけど……」

「へぇ……不思議な力を持っているんだね」

「はい。この力を使えるようになったのは、小学校の頃なんです。突然遠くのものが見えるようになって……この力は私に害はないと思ったので、ほっといていたんです。でも最近になってから、無意識に千里眼の力が発動するようになったんです。誰にも相談できなくて、ずっと悩んでたんです。でも泰斗先輩なら、聞いてくれるかなって思ってここに来たんです」

「……そうだったんだ。それは辛かったね」

「はい……私これからどうすればいいんでしょうか……？」

「……なら俺が所属している組織に連れてってあげるよ」

「組織……ですか」

「うん。明日の放課後またここに来てくれるかな？そこに行けば、君の悩みも解決すると思うから」

「わかりました！ありがとうございます!!やっぱり先輩に相談してよかった～明日ここに来ます！私先に帰りますね！先輩さよなら！」

「未果ちゃんまたね」

未果はそう言うと、その場から立ち去った。そして泰斗はスマホを取り出し、弥生に電話をかけた。

『もしもし？泰斗君かい？私に電話を寄越してくるなんて、珍しいね』

「すみません。実は明日本部の方に伺っても宜しいですか？」

『え？別にいいけど……どうしたの？』

「実は……」

次回に続く