ふぅ ページ3
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「「ご馳走様でした」」
今日の朝餉は鮭の塩焼きに一汁三菜。どれも美味しかったが特に薩摩芋の味噌汁が俺好み過ぎた。
「あー、美味しかった。今日の炊事当番は当たりだな」
「...お前、ご飯三杯は流石に食い過ぎだぞ」
「え、そう?」
「朝からよくそんなに入るな」と若干引いた表情で見られているが、最近真面な飯にあり付けていない所為だと返しておいた。
間。
食堂からの帰り道、長屋へ続く渡り廊下を歩いていると並んでいた後藤の足が止まり、それに釣られて俺も止まる。
「今日は良い天気だな」
「お、本当だ」
言われて同じ様に覗き込めば、雲一つさえ無い蒼旲に昇るお天道様が照り渡っていて、とても良い日和だ。
こんな日は何もせずに縁側で微睡んでいたものだが、それは流石に多方面からお叱りを受けるので我慢だ。
「後藤、後藤」
「ん、どうした?」
「今日何処」
「事後処理の応援」
「螺檻山?」
「轡村、人手が足りてないみたいだ」
「なんだ、別の場所かよ。一緒じゃないとかやる気起きないわ〜」
「仕様がないだろ、...それじゃあな」
「ちょ、」
無情にも颯爽と立ち去ろうとする後藤の腕を掴み引き留める。面倒臭いんだよお前と目が訴え掛けているが無視だ。
「何でそんな淡白なんだよ!!俺はお前が居ないと生きて行けないんだぞ?!」
「そんな事言われてもなぁ、派遣先はお館様が決めていらっしゃるからな」
「...、そうだけど」
「お館様」その言葉に尻窄み、掌に篭めた力が抜けた隙を狙って腕を解く後藤。この野郎、俺がこんなに悲しんでるのに血も涙もねえ男だ。
顔半分が隠れて分からないが、恐らく涼しげな顔をしているである野郎に怨念を込めて睨み付けていると、何かを見つけた様に目を見張り「あ」と声を漏らす。
「なんだよ、ごと」
「月見里」
俺の言葉を言葉を遮る様に背後から聞こえた低い声に思わず身体が固まる。
おい、後藤。嘘だって言ってくれよ。
「月見里、水柱様がお呼びだぞ」
「...、」
「お、おい。腕を掴むなって、おい」
戦々恐々。
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作者名:小花衣 | 作成日時:2019年9月23日 0時