幼馴染の彼は、私にだけ冷たい。《黒》

冷たい…20 ページ20

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「…ん、なによ」






ソファで寝落ちしていたある朝。

耳元で鳴る大きな着信音に、さすがの私でも起きた。

寝ぼけていてスマホの文字はぼやけていたけど、その目でもはっきりと、「れん」という文字が見えて。







「…もしもし」

〈「……ねぇ」〉

「なに」

〈「…財布、忘れた」〉







だから、とれんの言葉が続く。

メンバーの皆さんの声とかが聞こえてきて、仲がいいなぁなんて頭の中でぐるぐる。


れんの低い声が聞こえて、「んー」と適当に相槌を打つ。






〈「…持ってきて、」〉

「…はぁ？」

〈「……俺、喉乾いてるから」〉






そんなの、奢ってもらえばいいのに。

なんて言葉は飲み込んで、「鍵持ってないよ」と問いかけた。






〈「…鍵閉まってない」〉

「……何言ってんの」

〈「……いーから、持ってきて」〉







れんが少し面倒くさそうにしてきたから、私から電話を切る。

せっかくの気持ちいい朝。


あんな機嫌の悪そうな声を出さなくたって、私は届けに行ったって言うのに。









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