幼馴染の彼は、私にだけ冷たい。《黒》

冷たい…19 ページ19

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「今日は、大丈夫かな」






昨日はあの後すぐ帰って、れんにLINEを一言だけ送っておいた。

絶対にあの事には触れないように、と意識してベランダに出る。


そのとき、

ガラガラ、と隣から窓を開ける音がした。






「…だい、じょぶ、？」

「…なにが」

「なにって、…風邪」





無言で、少し気まずい空気が流れる。

気まずいって思ってるのは、私だけだろうけど。


「…ねぇ」とれんの不機嫌そうな声が、いつも通り壁の向こうから聞こえてきた。

こんな弱い風にかき消されそうなくらい、小さな声で返事した私の声をれんは聞き分けて、そのまま話を続けた。






「…お前の反応的に、夢じゃないんだろうけど」

「……、昨日俺、したよね、」

「…なにを、」

「いや、…キス」






れんは、夢だと思ってたのか。

残念ながら、れんの望み通りの「夢」ではなかったけど。


れんの声は穏やかに変わって、「嫌だった？」と私に問いかけるから。

「えっと、」と言葉を濁せば、れんは乾いた笑い声を響かせて、ため息をつく。







「…俺の気持ち気づいた？」

「……どういうこと」

「……まぁいいや」






一呼吸、二呼吸置いて返事するれん。

その間の沈黙で、私の心の鼓動がれんに聞こえてしまいそうで、ずっと目をつぶっていた。









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