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ぴん、とノリのきいた灰色のブレザーに腕を通す。
雄英高校ヒーロー科の制服。
今日は雄英高校の入学式である。
Aは学校、というものに通ったことはない。
だがまるで切り取られた写真のように存在する記憶。
草原に建つ白いもの。中央には鐘が吊り下げられている。
そして自分と同じような、しかし色とりどりの宝石が草原を走っている記憶。
詳しくは分からない。どこかも、いつかも。
ただ、ずっとAは自分以外の宝石達を探している。存在するという確証などない。自分以外消えてしまっているかもしれない。それでも、何度砕けて記憶を無くそうとそのシーンだけは覚えていた。
絶対に忘れてはいけないものだとAは思っている。
｢どれだけコストかかってるんだこの学校…｣
雄英には予定より早く着いた。校舎はガラス張りの構造のため光に溢れて開放感に満ちている。大きさといいデザイン性といい流石は最高峰…と感心しつつ教室へと歩みを進める。
オールマイトのホログラムによって合格通知がなされたあと、入学についての各種手続きなどの連絡も流れた。合格の喜びから感傷に浸っていたAだったが、そのあたりきちんと頭には入っている。クラスは1-Aだ。
たどり着いたのは大きなドア…様々な個性の人間が集まる学校だからか道中にも手すりやスロープ完備でバリアフリーな所である。
スーっとドアを引く。教室にはまだ誰も来ていなかった。
黒板には座席表が貼り付けてある。Aは教卓から向かって1番右の列の最後、横列1人のみでポツリと置いてある席である。 友達できるかな、と複雑に思いながらも荷物を置いて席につく。
柔らかい春の日差しが手の爪先に当たって輝いた。
Aの活動に光は必要不可欠である。普通の人と違い栄養素も水もいらないが、Aの体を構成しているインクルージョンは光をエネルギーとして活動している。ある程度光を浴びてエネルギーを溜め込めば暗闇でも活動できるが体内エネルギーが枯渇すればすぐに活動停止、睡眠状態に入る。この席は1番窓側でよく日に当たる…授業中に日光浴ができ効率がいい事に気がついた。
ここはヒーロー科。友達作りは二の次だ。出来なくてもへこまない。へこまないぞ。
予鈴まではまだまだ時間があるようだ。人が集まるまでしばしの休息である。
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あかや - とても面白かったです！更新待ってます〜！ (2020年12月15日 13時) (
レス) id: 51d8bbe764 (このIDを非表示/違反報告)
ぱすてる - とてもよかったです(´；ω；｀) (2020年4月19日 18時) (レス) id: d34f4e9add (このIDを非表示/違反報告)
八百(プロフ) - みんなが名前を呼んでるとこでちょっと涙出ちゃいました…更新待ってます！ (2019年3月29日 21時) (レス) id: db047f61b6 (このIDを非表示/違反報告)
音春(プロフ) - 更新頑張ってください！(受験勉強も) (2018年12月1日 17時) (レス) id: f210cca1fd (このIDを非表示/違反報告)
星を見守る砂岩(プロフ) - すごく面白いです！更新頑張ってください！ (2018年11月16日 21時) (レス) id: 5a8ebe94bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さも | 作成日時：2018年2月9日 2時
