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山田「ほら、行くぞ」



「ちょ、離して。行かない」



山田「いいから、俺の話も聞け」


「なんで、そしたら私も言わなくちゃいけなくなるじゃん」



山田「それは別にいいから」


「どういうこと」



山田「いいから来い」



半強制的に連れてこられた涼介の家



「で、何?」


山田「とりあえず座れ。何飲む?」



「お茶」


山田「はいよ」



コトッ


「ありがとう」


山田「俺さ、学生の時から好きなやついて。でも友達と好きな人被ったって知った時にそいつに譲ろうと思って身を引いたの。そこから色んな人と付き合って来たけど、やっぱその人のこと忘れられなくて目が離せないし1番そばにいてあげたい。そう思うくらい。けど、俺1回諦めて中途半端なことしかしてないからなかなか気持ちもいえずにいてさ、そしたら最近好きな人被ったやつが戻ってきて前はそいつも諦めてたけど今回は頑張ってるの見てさほんとに幸せになって欲しくて。俺には無理だから、好きな人同士がくっついて俺に入る隙がないくらい仲良くなればいいのにって思ってるんだけどなかなか上手くいかなくて、そうすると俺の中に閉じ込めてたものが出てきてどうしようも無くなる。このままさらったらどうなるかなとか色々考えて。でも俺だけの気持ちじゃどうにも出来ない、向こうが俺の事好きなのかも分からない。噂は聞いたことあるけど、本人には確かめるの怖くて。こんな臆病なやつがそばにいるより自分の気持ちと向き合って今頑張ってる友達に行った方が絶対幸せになるって言い聞かせてる。だから早くくっついて欲しい」



「そ、それって」



山田「っていう俺の思い。そいつらの思いは知らねえ。聞こうとも思わないし。勝手に言ってきたら聞くけどさ」



ああ、私たちって両思いだったんだ



嬉しいけど、今の私には言えない



前の私なら構わずにすぐに伝えてたんだろうけど



頭の片隅にチラついてる顔がある



まだ確信はできない


だって涼介から聞いて嬉しい自分がいる



このまま私もって伝えたらこの長い長い片想いに終止符が打てる



でも、もっとちゃんと向き合ってから答えを出したい



「涼介にもそんなことがあるんだね」



知らないふりをする


多分私の事なんでも知ってる涼介はわざと知らないふりをしてることがバレている


それなのに変わらずに優しい顔で私を見ている



山田「俺だってほんとに悩んでんだからな?」

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作者名:Ne | 作成日時:2023年11月9日 14時

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