交差する思考回路 ページ19
人間初対面において、本来ある程度意思の疎通は出来るものなのだが。
どうやらこの二人は例外らしい。
((なんだこれめちゃくちゃ恥ずかしい!!!))
同じ感情なのにお互いがお互いを直視出来ないという、まるで付き合いたてのカップルのような謎の時間が二人の間には生まれていた。
たんぽぽ頭の彼がいたら、さぞかし「なんの時間だよ!?」とお怒りになる事だろう。
(撫でたい!めちゃくちゃ撫で回して甘やかしたい!!)
そんな状況下の中、全力で己の葛藤と戦うA。
最悪彼に頭突きをされてもいいと思える程、先の炭治郎の反応にはがしりと兄心を掴まれてしまっている。
(そしてあわよくば懐かれたい!!!)
もちろん自分がされて嫌な事はしない主義な為撫でるつもりはないが、頑張ってる彼を甘やかしたくて今にもウズウズしているのだ。
元兄でなければ勘違いして炭治郎に惚れていた所だろう。
そして一方の炭治郎はと言うと。
(一体なんなんだこの人っ!!!?)
彼もまた、Aという人間に調子を狂わされまくっていた。
それもその筈。
Aがあまりに悪意が無く嘘をつかない事から、感情の匂いがもろに炭治郎へと伝わっているのである。
断った時は後悔の匂い、謝った時は反省の匂い。
そして撫でられた時は、好意と尊敬の匂い。
(全てにおいて直球すぎる!!!)
ただでさえ釘付けになる程の匂いは初だというのに、そんな優しい顔で頭を撫でられては流石の炭治郎とて恥ずかしい。
ましてや兄のいない彼からすれば尚更だ。
慣れない事をされて戸惑ったのだろう。
「「.........」」
終いには完全に収拾がつかなくなり、お互い沈黙を続ける二人。
そんな彼らを幸いにも冷静にさせたのは、他でもない迷子の女の子だった。
「おうちかえる!」
そう言うと、突然Aの袖を引き指をさす女の子。
「こっち!」
服を掴んだまま着いてこいと促す彼女に、Aはようやくウズウズを解くと町の中央側へ方向を変える。
「そ、そっちか!じゃあすいません、俺達はこれで!」
「えっ!?ちょ!」
そしてお世話になりましたと言いつつ歩き出せば、何故か眉を寄せて驚く炭治郎。
理由は分からないが、ここは一度退散すべきだろう。
Aはそう考えると、そのまま背を向け子供と二人で歩き出したのだが──。
「その子の家は反対ですよ!?」
「......へ?」
背後から聞こえた炭治郎の声に、Aはすんなり足を止めると静かに振り返ったのだった。
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みかん - もう公開はしないのでしょうか…凄く見たい…また公開にするような機会があることを願ってます!非公開にした理由が深いのなら作者様はこのコメント無視して頑張ってください!! (2022年1月9日 12時) (レス) id: bc2584c695 (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - 素晴らしいの一言に尽きます...素敵な作品で楽しく読ませていただきました。最新頑張ってください。陰ながら応援してます...(´∀`) (2020年10月18日 22時) (レス) id: 000b312b5b (このIDを非表示/違反報告)
三日月 - まだ(# ゚Д゚) (2020年3月10日 17時) (レス) id: 4d4917b86c (このIDを非表示/違反報告)
三日月 - 続きまだ? (2020年2月29日 20時) (レス) id: 4d4917b86c (このIDを非表示/違反報告)
佐藤悠真(プロフ) - 微笑ましいに尽きますね。いつもホワホワしながら読まさせていただいております。更新頑張ってください。楽しみに待ってます。 (2020年2月18日 0時) (レス) id: 44efc3fddb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Syu | 作成日時:2020年1月16日 21時