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7.友の失敗 ページ8

「……」

「……」

長い長い沈黙が続く中、私はギムレーよりも先に口を開く。

「追い越してるじゃん」

「……うるさい」

何の話かと言うと、ほんの数分前の話だ。

ギムレーが過去に来たのは、未来を変えようとする人たちを止めるため。

そうなると、私たちよりも先に過去に遡った人たちを、私たちが追いかけるという形になる。

だが、なんとギムレーは、追いかけるどころか追い越してしまっていたのだ。

それが分かったのが数分前の出来事。

私たちと共にやって来た屍兵が、未来からやってきたのを見た。

その直後、ギムレーが追っている少女?が、屍兵の後からやってきたのだ。

「鬼が捕まえる人を追い越してどうするの……しかも追ってたのは子供って、ロリコンかあんたは……」

「失敗したものは仕方がない。あの小娘が妙な動きをしたときに対処すればいい」

自分の失敗がそれなりに恥ずかったようで、心なしか顔が赤い。

拗ねた子供のようで、可愛らしいと思ったのは内緒だ。

「しばらくは様子を見るとするかな」

「じゃあ、買い物でもしない?せっかく平和な過去の世界に来たんだから」

「その平和な世界を滅ぼした張本人が、何故その世界で買い物などするんだい?」

馬鹿か君は?とでも言いたげに、ギムレーはわざとらしく深いため息をつく。

「だって、さっきキミは言ったでしょう?ギムレーとしての力はほとんど失ったって」

「あぁ。確かにそう言ったね」

それがどうした、と吐き捨てるように言うギムレー。

「だから、今のキミはギムレーであってギムレーじゃないってこと」

「は……?」

普段の彼からは想像もできない、鳩が豆鉄砲を食ったような表情を見て私は笑った。

そんな私を見て、不機嫌そうに顔をしかめる。

彼の様子に、私はまた声を上げて笑った。

平和だなぁ……と、改めて思った。

8.初めての“手”を→←6.友の頼み



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005(プロフ) - とても感動しました!すごくシリアスな展開からのハッピーエンド素敵でした! (2018年4月21日 21時) (レス) id: 1fcd95cf50 (このIDを非表示/違反報告)
やまたこ - 面白かったです100点! (2018年4月16日 7時) (レス) id: 4e05d1b0ac (このIDを非表示/違反報告)
リムス(プロフ) - 書き人知らずさん» こちらこそ、コメントをくださりありがとうございました。この物語を読んでくださり、ありがとうございます。 (2018年3月23日 12時) (レス) id: 27e40c194f (このIDを非表示/違反報告)
書き人知らず(プロフ) - 感動する物語をありがとうございました。 (2018年3月23日 11時) (レス) id: bdbb5f59e7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リムス x他1人 | 作成日時:2018年3月1日 22時

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