３９.呪い ページ42
ギムレーが私の元に訪れて、もうかなりの時間が流れた。私は肩の治療のために、戦場へ出るのを禁止されてしまった。
運命の戦いだと言っていたっけ……。
それ以外は何もせず、ただただ自分の天幕の中で寝ていた。そのせいで、私は今の状況を全く把握出来ずにいる。
今どこでルフレさんたちが戦っているのか、そもそもこの戦いの意味は何なのか。
何の情報もない中で、私はベッドに横たわり、右手にはめていた手袋を外す。右手の中指には、三日月型の石がついた指輪をはめている。
「キミがこの指輪を受け取ってくれる日が、いつか来るのかな？」
そう言いながら、私は左の二の腕を掴む。
２年前。
ギムレーによって切られたこの左腕は２度と動かないと言われていた。だが、そうなっては私が役に立てなくなる。ルフレさんたちはもちろん、ギムレーの役にも立てない。
それに恐れた私は、ある呪いをかけた。己の寿命と引き換えに、偽りの神経を埋め込むもの。
最初はなかなか腕に馴染まず、上手く動かすことが出来なかったが、今では元の状態と大して変わらない。そしてその分、神経に使われる寿命の量が増え続けた。
残りの私の寿命は、約１０年ほどだろう。
もしも呪いを解かずに生活すれば、さらに寿命は縮む。その上、使われる寿命の量も増える。
そのことも考慮すれば、私の寿命はあと１年あるかないかだろう。
それでもいいと思っていた。本当は優しい友人が、私の腕を見て悲しそうにする度に、その思いはさらに強まっていた。
この呪いのことを知っているのはサーリャと、新しく仲間になったヘンリーの２人だけ。
それ以外は誰も、腕のことを知らない。
私は駒を机に置き、手袋をはめる。
息抜きに外に出ようと思ったからだ。
だがそのとき、私は初めて外の異変に気付く。
ある建物を中心に、濃い紫にも見える雷雲が空を呑み込んでいくのが見えた。
私は天幕から飛び出し、建物の方へ走る。
しばらくして見えたのは、建物の外で唖然とした表情で空を見る仲間の姿だった。
「リュヌさん！？どうしてここに？」
私に気付いたのは、クロムの娘であるルキナだった。
だが私は、彼女の言葉も耳に入らなかった。
目の前の建物の上、空を覆うかのように６つの翼を広げる巨大な竜。
「ギムレー……」
無意識のうちに、私はそう呟いていた。
その後私たちは、【覚醒の儀】というものを行うために、虹の降る山へ向かった。
ギムレーを殺めるために、仲間は前へ進んだ。
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005(プロフ) - とても感動しました！すごくシリアスな展開からのハッピーエンド素敵でした！ (2018年4月21日 21時) (
レス) id: 1fcd95cf50 (このIDを非表示/違反報告)
やまたこ - 面白かったです100点！ (2018年4月16日 7時) (レス) id: 4e05d1b0ac (このIDを非表示/違反報告)
リムス(プロフ) - 書き人知らずさん» こちらこそ、コメントをくださりありがとうございました。この物語を読んでくださり、ありがとうございます。 (2018年3月23日 12時) (レス) id: 27e40c194f (このIDを非表示/違反報告)
書き人知らず(プロフ) - 感動する物語をありがとうございました。 (2018年3月23日 11時) (レス) id: bdbb5f59e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リムス x他1人 | 作成日時：2018年3月1日 22時
