３４.嘘もほどほどに ページ37
「……酷いですよ、師匠」
「ご、ごめん」
「すまない……」
拗ねる私に、ルフレさんとクロムさんは申し訳なさそうにしてそう言う。
ルフレさんたちは、私がリュヌであることに、フードを被っていた時から気付いていながら、知らないフリをしたのだそう。
私が２年も会いに来なかったので、仕返しをしたかったのだと後に語った。
それに付き合わされたのがフレデリクだとか。
「でも……あの最高司祭、ルフレにそっくりだったな。リュヌは何か知らないか？」
クロムが不思議そうに聞いてくる。
さすがに、未来から来た師匠です！とは言えない……。
「私もあまり詳しくは知りませんね」
「そうか……あ、火傷を負っていると聞いたけど、大丈夫かい？見たところ火傷の跡はなさそうだけど」
残念そうに俯いたあと、ルフレさんが心配そうに聞いてくる。
「火傷……？何のことですか？」
「え？ほら、最高司祭が言ってたじゃないか。君が顔に火傷を負っているから、フードで顔を隠しているんだって」
……そういえば、そんなことを言っていた気がする。
「あれは嘘ですよ」
「何で嘘をついたんだ……？」
私の答えに、ルフレさんは首を傾げる。
「ほんの悪戯心だと思いますよ。先程までの師匠たちみたいに」
私が嫌味を込めてそう言えば、誤魔化すようにルフレさんは乾いた笑みを浮かべる。
その後、私はかつての仲間たちに挨拶をして回った。何人かには、今までどこにいたんだと怒られたが……。
「リュヌなの？」
天幕の外に向かっていると、後ろから声をかけられた。振り向くと、そこには驚いたように目を見開いてこちらを見る、サーリャがいた。
「久しぶり、サーリャ」
私はそう言いながら、片手をヒラヒラと振る。
「元気そうね。……その腕の呪いは解いていないみたいだけど、今ならまだ間に合うわよ？」
私の左の二の腕を見、心配そうに表情を歪めてサーリャは言う。
「いいの。ありがとう、サーリャ」
私はそう言って笑い、サーリャと別れた。
少し仮眠を取ろうと思い、私たちの天幕の近くにある木の根にもたれかかる。
風が吹き、木の葉が音を立てる。
そういえば、ギムレーたちと過ごし始めてからずっと、外で寛いだことはなかったなぁ。
そう思いながら、私は瞼を閉じた。
______________________________________
いきなり呪いとか出してすみません。
今の夢主は切らせた左腕を動かせます。
評価とコメントありがとうございます。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 35人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
005(プロフ) - とても感動しました！すごくシリアスな展開からのハッピーエンド素敵でした！ (2018年4月21日 21時) (
レス) id: 1fcd95cf50 (このIDを非表示/違反報告)
やまたこ - 面白かったです100点！ (2018年4月16日 7時) (レス) id: 4e05d1b0ac (このIDを非表示/違反報告)
リムス(プロフ) - 書き人知らずさん» こちらこそ、コメントをくださりありがとうございました。この物語を読んでくださり、ありがとうございます。 (2018年3月23日 12時) (レス) id: 27e40c194f (このIDを非表示/違反報告)
書き人知らず(プロフ) - 感動する物語をありがとうございました。 (2018年3月23日 11時) (レス) id: bdbb5f59e7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リムス x他1人 | 作成日時：2018年3月1日 22時
