11.間違い ページ12
私は師匠、ルフレさんに戦術について教えてもらい、本屋を後にした。
戦術とはなかなか難しいものだと思ったが、ルフレさんの教え方が上手かったのもあって、なんとか基礎は理解できた。
「随分と楽しそうだったね、リュヌ」
何処からいたのか、物陰からギムレーが腕を組んで現れた。
「ギムレー!良かった!実は聞いてほしいことが……」
ルフレさんのことを話そうとして、やっと気が付いた。
キミが、私に剣を振り下ろしたのを。
「え……?」
なんとか躱したものの、その刃は私の、左の二の腕を切り裂く。あと少し深ければ、その腕とはお別れを言うところだった。
「あれ?外したか。まぁいいよ、今回は見逃してあげる」
私の様子に、キミは困ったように笑う。
私の頭には、どうして?という言葉だけが浮かんでくる。
どうして、キミは私を切ったの?
私はキミに、何かしたの?
言ってくれないと、分からないよ。
私はいったい……どこで間違えたの?
その後のことは、よく覚えていない。
気が付いた時は、私はルフレさんに医療室へ運ばれているところだった。
色んな人から、『誰にやられたの?』と聞かれたが、私は『覚えてない』とだけ答えた。
「……友達に、やられたの?」
医療室に2人だけになったとき、ルフレさんが聞いてきた。
「……分からない。私はどこで間違えたのか、分からない」
頭に浮かんだ言葉を繋いで言う。
自分が今、なんと言っているのかなど分からないが、それでも話す。
「私はただ……」
役に立ちたかっただけなのに。
「言いにくいけど、それは本当に友達と言えるのかい?」
「え?」
ルフレさんの言葉に、私は首を傾げた。
「君の様子を見てると、それは友達というよりも、王と兵士という関係の方が近い気がする」
なら友達とは、絆とは、一体何?
分からないなぁ。
「師匠!私を師匠たちの仲間にしてください」
私の言葉に、ルフレさんは驚愕の表情を浮かべた。
なんとなく、ルフレさんたちの周りにいれば、友達について学べるかもしれない。
そう思ったのだ。
「……僕たちは遊びじゃなくて戦争にいく。いつ誰が死んでもおかしくないんだ。それでも、僕たちの仲間になりたい?」
真剣な表情でそう言うルフレさん。
「はい!後悔はしたくありません。何より今の私は無一文なので!」
「あ……そっちなんだ」
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005(プロフ) - とても感動しました!すごくシリアスな展開からのハッピーエンド素敵でした! (2018年4月21日 21時) (レス) id: 1fcd95cf50 (このIDを非表示/違反報告)
やまたこ - 面白かったです100点! (2018年4月16日 7時) (レス) id: 4e05d1b0ac (このIDを非表示/違反報告)
リムス(プロフ) - 書き人知らずさん» こちらこそ、コメントをくださりありがとうございました。この物語を読んでくださり、ありがとうございます。 (2018年3月23日 12時) (レス) id: 27e40c194f (このIDを非表示/違反報告)
書き人知らず(プロフ) - 感動する物語をありがとうございました。 (2018年3月23日 11時) (レス) id: bdbb5f59e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リムス x他1人 | 作成日時:2018年3月1日 22時