１.拾い物 ページ2
破滅と絶望の竜、ギムレー。
それが僕だ。
クロムの娘、ルキナ。
憎き聖王の子。
あの小娘を殺せば、この世界は終わる。
この世界に僕を、我を倒せる者などいない。
そのときだ。
僕の目の前に、１人の人間が現れた。
黒い髪に青い目をした、幼い顔立ちの女。
その女の周りには、屍兵が倒された跡がある。
「……キミが、邪竜ギムレー？」
僕の本体である巨大な竜を真っ直ぐに見据えてその人間は言う。
大抵の人間は、僕の本体を見れば戦意喪失をするか、悲鳴を上げるだろう。
だがこの人間は違った。
今にも獲物に飛びかかろうとする獣の目だ。
面白い。
僕はほんの興味本位でその人間に近づき、手を差し出した。
「君は人間の割に見所があるね。このまま殺すのも惜しい。僕がこの世界を壊すまでなら、僕の下僕にしてあげようか？」
これには予想外のことだったようで、その人間は目を丸くし、見た目相応の表情を見せる。
ほとんどの人間は命惜しさに僕の下僕になる。
または、下らない正義感から僕を巻き添えに自爆しようとするものがいたりもした。
この人間は、どうするのだろうか？
だが、その人間が取った行動に、僕は度肝を抜かれた。
なんとその人間は薄っすらと笑い、僕の手を取って言ったのだ。
「下僕は嫌だ。友達になろうよ」
耳を疑った。
この人間は、今何と言った？
友達？？
「友達……」
我……僕には無縁だったその言葉。
普段の僕なら、この人間の首を刎ねたかもしれないが、何故かそれが出来なかった。
「……いいよ」
無意識に、そう言っていた。
こうして僕は初めての、友達という拾い物をしたのだった。
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ギムレーさんは一人称が僕のときもあれば我と言うときもありますよね。
ギムレーであることを強調したいときに我という一人称を使ったのですが、どうでしたか？
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005(プロフ) - とても感動しました！すごくシリアスな展開からのハッピーエンド素敵でした！ (2018年4月21日 21時) (
レス) id: 1fcd95cf50 (このIDを非表示/違反報告)
やまたこ - 面白かったです100点！ (2018年4月16日 7時) (レス) id: 4e05d1b0ac (このIDを非表示/違反報告)
リムス(プロフ) - 書き人知らずさん» こちらこそ、コメントをくださりありがとうございました。この物語を読んでくださり、ありがとうございます。 (2018年3月23日 12時) (レス) id: 27e40c194f (このIDを非表示/違反報告)
書き人知らず(プロフ) - 感動する物語をありがとうございました。 (2018年3月23日 11時) (レス) id: bdbb5f59e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リムス x他1人 | 作成日時：2018年3月1日 22時
