愛してるって言えるのは…3 (ページ19)

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臣side

どこに行った？

何を話せばいいのかなんか分からないけど、もう1人にしたくない。

これまでの彼女の言葉が次々と脳裏に浮かぶ。

……だからだったんだね。

彼女は俺を愛してくれてる。

だからこそ、決して一線を越えなかったんだ。

何も知らない俺に禁忌をおかさせないために。

近くの公園で小さくなって座っている君をやっと見つけた。

綺麗な涙を流しながら、空を見ている。

こんな時なのに、見惚れている自分がいた。

レオナ…と呼びかけてやめた。

そっと、大切な名前を思いを込めて呼んでみる。

「A？」

驚いた顔で振り向く。

俺だと気づくと咄嗟的に逃げようとするから捕まえて抱き寄せた。

A「！？」

「お願いだから逃げないで。何にも言わなくていいから。ただ、俺の隣にいて。言葉なんかいらないから、ただ側にいて。……俺が愛してるのは、Aだから！」

A「………臣君！」

「うん」

A「臣君！」

「うん」

彼女は何度も何度も俺の名前を呼んだ。
いつか呼べなくなる日が来るのを分かっているから…。

突然彼女が俺らの所に来てくれたように、突然彼女は元の場所へ帰ってしまう…そんな不安を搔き消したくて、彼女の存在を確かめるように強く抱きしめた。