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「遅ぇぞ。」
野次馬を掻き分けて、世間から隔離された規制線の先の空間へとAと共に足を踏み入れたカカシを見付けたアスマが紫煙を燻らせながら呟いた。
その横には、イタチも並び立っている。
「どーせそんなに変わらないでしょ。」
カカシはアスマに対して面倒そうに言葉を返しながらも、足は現場に向けて共に歩み出した。
実際カカシの言う通り、アスマとイタチが到着したのもつい先ほどの事だった。
「お疲れ様です」と方々から飛ぶ声に適当に軽く会釈を返しつつ、現場となったアパートの一室に足を踏み入れて上方に視線を動かせば、そこには首に縄を掛けてぶら下がる女性の遺体がそのままの状態となっていた。
「……成程、ね。今流行りのメゾネットタイプとはおあつらえ向きだな。」
煙草の火を携帯灰皿に押し付けて揉み消しながら渋い顔をしたアスマの言葉には誰も答えず、メゾネットタイプの吹き抜けの廊下にぶら下がったままの女性に目を向けていた。
「……げ。」
そんな4人に気が付いて、如何にも嫌そうな声を上げたのは先日の事件でAの胸倉を掴んで来た検視官の男だった。
その声に気が付いて振り向いた4人の視線を受け、一瞬気まずそうに視線を逸らした男だったが、ソワソワと身体を動かした後、片手で乱雑に自身の髪を掻くとそのままズカズカとAの目の前まで来てガバッと頭を下げた。
その行動の意味を即座に理解したカカシは、笑いを堪え切れず「プッ」と短く噴き出して肩を揺らしたが、頭を下げられているAとアスマ、イタチは状況が良く分からずにそれぞれ頭上にはてなマークを浮かべていた。
それは頭を下げた当人にも分かったのか、気まずそうな表情を浮かべたまま頭を持ち上げると、ボソボソと話し出した。
「……この前はその……なんだっ……悪かったよ。」
「この前……とおっしゃいますと?」
「はぁ?!忘れてんじゃねぇよ!!」
「いえ、忘れているわけではありません不知火ゲンマさん。ただ、”この前”とはいつの事で、貴方は何故私に謝罪をする必要があるのでしょうか?」
「そっ……それはそこの笑ってる男に聞けっ!!」
「カカシにですか?」
「っくそ!なんだよ!!俺は謝ったからなっ?!」
「ったくキャラじゃねぇんだよ」とブツブツ文句を言いながらも4人の元を去って行く男……基、不知火ゲンマの背を見送りつつ、アスマは「なんだあれ」と呟き、イタチは「さぁ」と返した。
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テン(プロフ) - 星猫さん» 星猫さん嬉しいコメントありがとうございます(*^^*)更新が停滞していて申し訳ありません。今後も楽しんで貰えると光栄です♪ (2021年9月27日 21時) (レス) id: 7837fbad55 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして!とっても素敵ですね!高評価しました! (2021年9月10日 23時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テン | 作成日時:2021年4月20日 0時