Chapter 44 【博@】 ページ45
赤髪のともside
部屋を出て、振り返らずに階段を降りる。
頭の中は真っ白で、何も考えられない。
前へ前へ走って走って、ようやく俺は止まった。
「……」
____鳥ちゃんが……
もう居ない、という事実から顔を背けたくて、しゃがみこむ。
そんな俺をわとさんが心配そうに見遣る。
わとさんも目に涙を貯め、その瞳に光は無かった。
「……なあ、ともさん。
終わりにしようや、もう……
仲間が皆、誰かを庇って死んで行く。
俺らの手の届かん遠い世界に、易々といってまう……。」
声に張りはなく、何時もの元気なわとさんじゃない。
そう、なのかな。
皆、俺を何故か庇って逝ってしまう。
大事なメンバーが、……友達が居なくなるのなら、
ひゅう、と乾いた音が口から漏れる。
それでも俺は……
わとさんが何かを察して、微笑んだ。
「わかってる。ともさんは進むんやろ?
そんなともさんに俺は元気もらって、ここまで何とかやってきた。
でも、ごめんな。」
瞳に限界まで溜まった涙が、わとさんの頬を伝った。
「……生きてな、ともさん。」
悲しげに瞳を伏せたわとさんを、俺は必死に止めようとする。
「な、何でよ!!どうして、っ、わとさん!!!」
上手く言葉が出てこなくて、もどかしくて、わとさんの服の裾を目いっぱい掴む。
「__ごめんなぁ…」
全てを諦めた顔で微笑まれて、それ以上俺は何も言えなくなった。
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わとさんside
「おや、律儀に待っていてくれたんだね?
もう耐えられなくなったんだな」
ニヤニヤと笑いながら降りてきたその男に、俺はチッと舌打ちをする。
「それにしては、赤髪のともとクミの姿が見えないな。逃がしたのか?もう意味なんてないのに。」
鋸を構えながら、ジリジリとそいつが近付く。
「……なあ、最後に教えてや。
この屋敷からの、脱出方法っての」
俺は冷や汗をかきながら、それでも必死に笑みを保つ。
ふむ、と男は間を置いて
「良いだろう。知ったところで出来やしない。
冥土の土産だ。
この屋敷からの脱出方法は………
この屋敷の最上階にある、管理室の自爆レバーを引くこと。」
管理室の鍵は、私が持っている。
とでも言いたげに、そいつは鍵をプラプラと揺らした。
「それじゃあ、さようならだね?」
男は狂ったように笑いながら、俺の首に刃を当てた。
ともさん、絶対出てや……
物陰で見ていたその人物は歯を食いしばって、泣きながら走り去った。
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雪那々(プロフ) - ハカタさん» すみません…博が直してくれたそうです…ご指摘ありがとうございます。 (2018年9月9日 12時) (レス) id: 6aeb77ce64 (このIDを非表示/違反報告)
博@(プロフ) - ハカタさん» ハカタさんいつもありがとうございます!そーですね、時間かけて良いの書こうと思います(ノ´∀`*) (2018年8月26日 9時) (レス) id: d43769dbf0 (このIDを非表示/違反報告)
ハカタ(プロフ) - 作品に時間をかけるというのはとってもいいことだと思います!私なんて15分ぐらいで考えてまた最終的に書き直すというアホみたいなことしてますから...更新楽しみに待ってます! (2018年8月23日 20時) (レス) id: 05436ab3ab (このIDを非表示/違反報告)
博@(プロフ) - 雪那々さん» そしてお前は何を言っとるんや……w (2018年8月23日 16時) (レス) id: d43769dbf0 (このIDを非表示/違反報告)
博@(プロフ) - もちづき@さん» うええええええ!!!??ありがとうごぜえやす(っ'ヮ'c)ウゥッヒョオアアァ (2018年8月23日 16時) (レス) id: d43769dbf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:博@・雪那々 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=conect1016
作成日時:2018年8月9日 13時