短・中 編１

避けられないワケ1：志摩 ページ33

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『志摩さん!!今日は飲みますよ!!!!』


「分かった分かった」






ジョッキを掲げて高らかに宣言するコイツは

西武蔵野署の刑事で、俺が一番仲の良い後輩





しょっちゅう飲みに行く仲だが

最近はお互い事件で忙しくなかなか会えず、1ヶ月ぶりにようやく飲みに来れた







「そっちも大変そうだな」



『も―ほんと毛利さんのやる気の無さハンパないです！』



「まぁ穏便に済ませれるならそうしたいとこだよなぁ」






どこかのほほんとした毛利さんを頭に浮かべながら、Aの話に耳を傾けるが

だいぶ酒が回ってきているようで、さっきから同じ事ばかり言ってる




可愛い後輩でもあるが

コイツは酒が入ると面倒な後輩でもある




オマケに隙だらけ




顔も整っていて仕事も出来て、皆に可愛がられているのに

こんな隙だらけで、大丈夫なのかと心配になる





本音を言うと、俺以外の前で飲まないで欲しい




彼氏でもないのに、独占欲というやつが沸々と湧き上がる



でも伝える事はしない





関係が壊れるのも嫌だし、何よりコイツには伝えられない理由がある








「そういえばお前、彼氏とはどうなったんだ」




『あぁ･･･』






コイツには2年以上付き合ってる彼氏が居る




だから言えない









『先月別れました。』









前言撤回。




言える状況になったわ。









「え、何で」



『あのヤロ―････思い出すだけでも腹立つ!!!どう思います!?酷くない!?』



「いや、まず理由を話せ」





怒りのあまり、ジョッキをドンッと置きながら捲し立てるAは

シャーッ！と毛が逆立った猫のようだった





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