短・中 編１

二番目でもいいなんて5：志摩 ページ28

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伊「志―摩！志摩志摩志摩!!」


「うるさい、何だ」




捜一への引継ぎを終えて廊下を歩いていると
テンションの高い伊吹がしつこく名前を呼んできた



伊「あれ！あの子！めっちゃきゅるきゅる！！」




伊吹が指さす方には、先日別れたばかりのAの姿




伊「こんな男クサイ場所にあんな可愛い子が居るなんて！」




これから現場へ向かうのか、スーツを着た男性たちと共にこちらに歩いてきていた





あと5mという距離でAは俺の存在に気付いたが
動揺する素振りも見せず、俺の前を通り過ぎた





伊「あの子どこの部署かなぁ？」





隣で舞い上がる伊吹に何も返す事ができない



お前にとって俺はもう動揺するにも値しない存在なんだな




好きな人とは無事に付き合えたのか？




お前は、やっと誰かの一番になれたと喜んでいるのか？








「ずっと一番だったのにな」




そう呟いた声は、最愛の人には届かない








――――――――――――――･･･


4機捜分駐所






伊「あれ、志摩は？」



九「帰りましたよ」




勤務を終えてトイレから戻ると相棒の姿が見当たらず、キョロキョロする伊吹に九重が答える




伊「え〜･･･一緒に調べに行こうと思ってたのに〜」



九「調べるって何を･･･？」



伊「今日めちゃくちゃきゅるっとした子見つけてさ、どこの部署なのか知りたくて〜」



九「そうですか･･･」



伊「スーツ着てたんだよねぇ･･･捜査一課とかかな？」



九「今捜査一課に女性は居ないはずですが････」



伊「そうなの？じゃあどこだろ」



九「捜査二課には椎名さんが居ますね」



伊「椎名さん？知ってんの？」



九「何度かお会いした事があります。確か志摩さんと捜査一課で･･･」


陣「おいおい伊吹〜」




報告を終えて戻ってきた陣馬が、九重の言葉に被せて声をかける





陣「お前は次から次へと調べ倒すな！」



伊「え〜何でよ、俺はきゅるちゃんの事が知りたいの！」



九「陣馬さんは椎名さんをご存じですか？」



陣「･･････あぁ。知ってる事は知ってる」





九重の問いに少し間を空けて答えた陣馬は
そそくさとロッカーに荷物を取りに向かった





伊「え、え、どんな子？捜査二課ってホント？」



陣「捜査二課の刑事だよ。優秀なやつ。じゃあな」



これ以上聞くなと言わんばかりに立ち去ろうとする陣馬の腕をガシッと掴む伊吹に、陣馬は嫌な予感しかしなかった





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