短・中 編１

二番目でもいいなんて1：志摩 ページ24

.




私が一未と付き合ったのは、今から6年前



最初はただの捜査一課の同僚だった






あの日、追いかけていた容疑者が逃走し
追尾していた一未達から連絡が入って私は相棒と一緒に応援に向かった




現場に到着した時
ナイフを持った容疑者とその仲間に挟まれた一未の姿を見つけた私は、背後に回り込み隙をついて1人を取り押さえた

相棒に手錠をかけさせて振り返ると、一未が圧され気味だった



相手は190cm近くある大柄な男でナイフを持っているともなれば
流石の一未でも分が悪い



正直、私が加勢したところでどうにかなるとは思えない状況だったが
気を逸らす事は出来るかもしれないと、一歩近づく




案の定、男は一瞬私に視線を移しその隙に一未が背後から男の膝裏を蹴り男はバランスを崩して倒れ込む





でも、


倒れ込む瞬間に男の手が大きく動き、そのまま目の前に居た私の頬をナイフが掠めた









――――――――――――――――

――――――――――――

――――――･･･









「A―、今日パンでいいか？」



『うん、ありがと』






洗面所に顔を出して、朝食の話をしていた一未は

化粧品を手に持たずに、ただ鏡を覗き込んでいた私を見て一瞬悲しそうな顔をした






『今日はマーガリンがいいな〜』



一未のそんな表情は見たくなくて
あえて明るくリクエストをすると、一未は少し笑って台所に向かった








一未は責任を感じてる





頬に残ったあの時の傷は、年月と共に薄くなっていて
今ではメイクで隠せる程度になった




だけど一緒に住んでいると四六時中メイクをしておく訳にもいかず
度々一未は悲しそうな表情をする









責任を感じないで という思いと



この傷がある内は一未は私から離れない というズルい考えの両方が私の頭に混在しているのに






離れたくないという一方的な感情だけで、一未を縛り続けている









・





・










一未が本当に好きなのは、桔梗さんなのに





.

二番目でもいいなんて2：志摩→←志摩のライバルはおまわりワンワン 5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す