検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:3,641 hit

ページ6

「2人は知り合いなの?」

 花残響が、天音紅羽と蜘蛛川巴に尋ねる。しかし、蜘蛛川巴は「ううん」と首を振った。目覚めたときに2人が同じ部屋だったということを説明すると、花残響は納得したように頷いた。食堂に7人が集まったが、目覚めたときに部屋が一緒だった、という人は2人が初めてだったようだ。

「じゃあこれからもっと増えるってことだね」
「まだ半分も来とらんみたいやしなぁ……」

 蜘蛛川巴の言葉に京雪が補足するように言う。すると、すらっとした体型の女の人が食堂に入ってきた。名前を尋ねたが「佐久間澪(さくまみお)」としか返ってこなかった。そのまま彼女は部屋の隅に近い椅子に座ると、もはや話しかけないでください、と言っているような雰囲気が彼女の周りをまといだした。別にそんなことはないのだが、前の来た櫛田まなかと蜘蛛川巴の明るさのせいか、そう感じるだけだ。

「私と同じ部屋の人」

 ふいに花残奏が言葉を零した。佐久間澪は彼女の方に視線を向ける。

「そうだったね。これからよろしく」

 それだけ言うと、すぐに視線を元の方向に戻した。微妙な空気、少し長めの沈黙が食堂内を包み込む。そのせいか、廊下から聞こえてくるこつん、こつんというヒールの音がすぐに耳に届いた。どうやら、また1人、説明を聞き終えたようだった。
 食堂に入ってきたのは、これまたスレンダー体型の女性であった。

「はじめまして、皐月美乃(さつきよしの)です。よろしくね」

 優しく微笑みながら、自ら名前を教えてくれた。その後も、10人は他愛のない雑談をしながら、食堂に入ってくる人を待つ。次に食堂にやってきたのは、眼鏡をかけた少年だった。彼はなんとなく名前を行った方がいいと察したのか、自ら名前を教えてくれた。

東雲颯斗(しののめはやと)って言うんだ、まぁ、よろしく」

 "こんな状況の中、簡単に「よろしく」だなんて言ってもいいのか"と思い、言葉を詰まらせながら挨拶をする。順番にくる人を食堂で待っていたが、次の人はなかなか来ない。
 かなりの時間待っていた。そして、やっとやってきたのは、身長が高い女性だった。彼女はぐるりと10人を見回す。

「変だな」
「あれ」

 食堂に入ってきた女性と、東雲颯斗の声が重なる。

「どないした?」

 京雪の問いに「いや」と否定形で入った女性だったが、悩む素振りを少し見せた後、小さく左右に首を振った。

「俺とすれ違った男がここにはいなかったもんだから」

├→←├



目次へ作品を作る
他の作品を探す

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
7人がお気に入り
設定タグ:企画小説 , colosseum , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/utahakiku08/  作成日時:2019年7月7日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。