├ ページ6
「2人は知り合いなの?」
花残響が、天音紅羽と蜘蛛川巴に尋ねる。しかし、蜘蛛川巴は「ううん」と首を振った。目覚めたときに2人が同じ部屋だったということを説明すると、花残響は納得したように頷いた。食堂に7人が集まったが、目覚めたときに部屋が一緒だった、という人は2人が初めてだったようだ。
「じゃあこれからもっと増えるってことだね」
「まだ半分も来とらんみたいやしなぁ……」
蜘蛛川巴の言葉に京雪が補足するように言う。すると、すらっとした体型の女の人が食堂に入ってきた。名前を尋ねたが「
「私と同じ部屋の人」
ふいに花残奏が言葉を零した。佐久間澪は彼女の方に視線を向ける。
「そうだったね。これからよろしく」
それだけ言うと、すぐに視線を元の方向に戻した。微妙な空気、少し長めの沈黙が食堂内を包み込む。そのせいか、廊下から聞こえてくるこつん、こつんというヒールの音がすぐに耳に届いた。どうやら、また1人、説明を聞き終えたようだった。
食堂に入ってきたのは、これまたスレンダー体型の女性であった。
「はじめまして、
優しく微笑みながら、自ら名前を教えてくれた。その後も、10人は他愛のない雑談をしながら、食堂に入ってくる人を待つ。次に食堂にやってきたのは、眼鏡をかけた少年だった。彼はなんとなく名前を行った方がいいと察したのか、自ら名前を教えてくれた。
「
"こんな状況の中、簡単に「よろしく」だなんて言ってもいいのか"と思い、言葉を詰まらせながら挨拶をする。順番にくる人を食堂で待っていたが、次の人はなかなか来ない。
かなりの時間待っていた。そして、やっとやってきたのは、身長が高い女性だった。彼女はぐるりと10人を見回す。
「変だな」
「あれ」
食堂に入ってきた女性と、東雲颯斗の声が重なる。
「どないした?」
京雪の問いに「いや」と否定形で入った女性だったが、悩む素振りを少し見せた後、小さく左右に首を振った。
「俺とすれ違った男がここにはいなかったもんだから」
7人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/utahakiku08/ 作成日時:2019年7月7日 14時