元カレ、推しでした【青】

# 36話 ページ37

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玄関まで走ってきた挙句

大声でまだ奥にいるメンバーに何かを知らせるジェルくん


お前ら何他人の家でくつろいでんだよ

なんてイライラしていたのも束の間


隣に居た彼女が突然泣き出した




『あのひと...っ、やだ、』

『……こわいっ、ごめんなさい、』




玄関にうずくまって

大粒の涙を落としてくる




こ「...どうしたの？」




何が起こったか分からなくて

ただ優しく聞き返すことしかできない




じ「おれ...なんかした？」




ジェルくんも不安そうに

Aの方に手を伸ばす




『...っ、やだ』




だけどそんなジェルくんの手を振り払っては

また震えてごめんなさい、と泣き始める




る「...この子、なんなんですか」




奥に居たるぅとくんも出てきて

さらに脅えてしまうA


...どうしたらいいんだよ




こ「...大丈夫、大丈夫だから」


こ「何が嫌なの？教えて...？」




彼女の背中をさすって問いかけると

ボソッと一言だけ話してくれた




『...におい、』




そう一言だけ




こ「あぁ...、」




言われてみると

ジェルくんの香りが

あのストーカーと同じだった




じ「ん...匂い？？俺臭いんかな？」




ジェルくんは焦ったように自分の体を匂い始める

隣にいるるぅとくんも迷惑そうだ




じ「るぅちゃん...匂ってえや」

る「臭いです」

じ「匂ってから言って？！」




ジェルくんもるぅとくんもなぜ彼女が泣いているのか分かるはずもなく

ただいつものように悪ふざけを繰り返す


その姿があまりにもいつも通りで

僕も安心し笑みをこぼす


Aにとっては良いと言える状況では無いだろうけど

僕らにとってはいつも通りで

安心する空間だった




こ「お前の匂いが無理らしい
後で事情は説明するから着替えてくんない？」


じ「遠回しに臭いって言っとるやん！！」




言い方がキツくなったのは申し訳ないけど

元はと言えばこいつらが勝手に来ていたことが悪いんだし

僕が謝らなくてもいいよなあ、なんて思い直す




こ「とにかく早く着替えてって」

じ「...ころんの服貸してや」

こ「えぇ、まあ仕方ないか……」




まあ、ジェルくんだし僕が着なくなった服でもいいよね

ていうかサイズ合うのかな


なんて考えながらジェルくんを奥の部屋に連れていく




こ「るぅとくん、Aのこと頼んだよ」




棒立ちをしている彼に言葉を残してから





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