元カレ、推しでした【青】

# 1話 ページ1

ふわふわとした服を着て

好きな物を主張するようなバックを持って

周りのスピーカーからは音楽が流れている



そう、ここはCD発売を記念して行われた握手会



周りにはおしゃれな格好をした女の子や

お母さんと一緒に来たであろう小さな子供



みんながみんな

彼らへの愛を魅せるための痛バックを持っている



そんな人たちが居る中私は



グッズなんて１つも持たず

好きな人を語る友達とも居ず

それなりのオシャレだけをしてこの場に挑んでいる




『やっぱり来ない方が良かったかな…』




私がこの場にいる理由は

ただ、私の推しているころんくんが

元彼と似ていたから



ライブになんて行かないから顔は知らないけど

時々投稿されるツイートの彼の目元は

ドッペルゲンガーなんじゃないかと思うほど似ている


更に声も似ていて

活動名も " ころん " と私が元彼に付けた名前と一緒だから



なんて、そんな理由で推していたり

ましてやイベントに来るなんて

心の底から推しているリスナーさんに失礼ではないかと

自分でもそう思ってしまう



だから私は気持ちの区切りとしてこのイベントに応募した

一枚しかCDも購入していないので当たるわけがないと

そう括っていたのに




『なんで当たるかな…』




まさか応募したたった一枚の紙が当選するなんて

夢にも思っていなかった




『15秒か…』




15秒もあれば元彼と推しを重ねていた夢からも

覚めることができるから

好きです、なんて言わないから



彼のリスナーさんも怒らないでね








.

できるだけ毎日投稿目指します

# 設定→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す