38話 ページ39
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悠仁可哀想だったな。高専関係者と共に画面を見ながら思ったことはそれだけ。全ての責任は隣で何故か機嫌良さそうに画面を見つめている彼なのだから。
『歌姫に例のアレ、話したの?』
五条「話したよ、あっちは歌姫に任せたからね」
『………今更なんだけどさぁ、』
声のトーンを下げた私に五条は小さく首を傾げ、こちらに顔を向けた。
『私が内通者だったらどうするの?』
五条「………笑えないね」
『…ええ、笑えないわね。それで?友達思いの最強さんはどうするの?』
嫌味を含んだ私の言い方にも何も言わず、彼は顎を突き上げ悠々と言った。
五条「どうもこうもないよ。殺すだけさ」
『できるの?』
出口が見えない話だと理解したのか、面倒くさそうにため息をこぼした彼はわざとらしく考える素振りをする。
五条「お前が間違った時は、殺すよ。しっかりね」
『そう、それは心強い』
五条「その前に……そうならないよう頼むよ」
『例え話よ、私が内通者なんて非合理的なことするわけないでしょ。最近まで海外に飛んでたのよ』
五条「それもそうだ」
何故こんなことを聞いたのか、何故深堀したがるのか、それは自分でも分からなかった。でも、もしもの話はしといた方がいいと過去の私が言っているのだ。
画面の向こうでは生徒たちがせっせと頑張っている。あー、あれは完全に悠仁を殺せとか何とか、そんな感じの命令が出たんだろうな。大変可哀想に。
『(まあ、あの子はちょっとやそっとじゃ殺せないよ)』
その意を込めて楽巌寺学長の方をちらりと見ると、偶然なのか目が合ってしまった。
『ひー、怖い怖い』
小声で言った言葉は、あの老耄には届いていないだろう。だって老耄なのだから。
『あの人はまた金で買われたのかな』
五条「その言い方をしたら冥さん怒るよ」
『大丈夫、私好かれてるから』
やたら切れる悠仁周りのカメラの様子は、恐らく買われたんだろう。本当に好きなのね、お金。
『まあ、様子を見るに悠仁と当たってるのは東堂かな』
五条「だろうね」
『いい仕事をしてくれそうね』
五条「ああ、そうだな」
そう言って微笑んだ五条の横顔は、私の知らない顔だった。
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ひながき(プロフ) - しおりさん» 𝑶𝑴𝑮(゜д゜)、教えていただいてありがとうございます!! (2022年2月7日 1時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 悠仁の漢字間違ってます! (2022年2月6日 23時) (レス) @page23 id: 2479e15f01 (このIDを非表示/違反報告)
ひながき(プロフ) - プスメラウィッチさん» 五条オチです!!今後もお楽しみください!! (2022年2月6日 2時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
ひながき(プロフ) - 15さん» ありがとうございます!!ゆっくりですが、しっかり更新していきます!! (2022年2月6日 2時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - ひながきさん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張ってください。応援しています(*^^*)楽しみにしています。 (2022年2月5日 21時) (レス) @page25 id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひながき | 作成日時:2022年1月9日 22時