29話 ページ30
_
家入「あんたどこ行ってたの」
『少しおしゃべりにね、いい時間を過ごせたよ』
家入「また五条と余計なことして来たんだろ」
『余計なことじゃないっての。それにしても、恵。すごくボロボロだね、誰にやられたの?』
椅子に座って若干ぶすくれている伏黒を見つけた泡瀬はサングラスをずらし物珍しそうに彼をジロジロと見た。
伏黒「東堂とかいう先輩です」
『ああ、東堂ね。あいつはちょっかい出すのが好きなんだよ、誰かさんに似て』
釘崎「Aさん、もう少し早く来てくださいよ!」
『ごめんごめん、まさかここまでズタボロにされるなんて思ってなかったからさ』
それは遠回しに伏黒と釘崎を弱いと取ってもいいような発言である。それを薄ら笑いを浮かべながら言うのだから余計腹が立つ。
家入「大怪我をして交流会に出れないなんてなったら元も子もないだろ。しっかりしてくれ」
『はいはい、硝子も口うるさくなったね』
家入「お前には負けるよ。それより何をしに?」
『鬼じゃないんでね、五条の代わりに2人の様子を見に来たの。ま、そこまで致命傷じゃなさそうだから交流会は大丈夫そうね』
家入「まあこれくらいなら問題ないだろうな」
それじゃあ私は任務に行ってくるよ、と泡瀬は踵を返し治療室から出ようとした時だった。
伏黒「あの、」
彼女を引き止めたのは意外にも伏黒だった。泡瀬も泡瀬で伏黒から話しかけてくるのは少なかったため多少驚いて顔だけを振り向かせる。
『どうした?』
伏黒「泡瀬さんは、負けることってあるんですか?」
『…それはどういう意味で?』
伏黒「どう受け取ってもらっても構いません。泡瀬さんの思う負けを感じた時ってあるんですか?」
それはいたって純粋な質問であった。伏黒からすると彼女の身体能力に加え、無敵とも思っていいような術式を持っている彼女に負けなど存在するのか。今回の自分の悲惨さを経て彼女の言葉を聞きたくなったのだ。
『数え切れない程あるよ』
彼女は彼らの方へ体を向き直し、話し始める。ただサングラスをかけているため表情は伺えなかった。
『そりゃあ死にかけたことは何度かあるけど、結果的に死んでないから私はそれを負けだとは思ってない。だけど、確実な負けを感じたのは幾回もある』
彼女の話に質問を問いかけた伏黒はもちろん、釘崎も彼女の話を食い入るように聞いていた。家入は目を伏せながら彼女の話を静かに聞くだけ。
400人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひながき(プロフ) - しおりさん» 𝑶𝑴𝑮(゜д゜)、教えていただいてありがとうございます!! (2022年2月7日 1時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 悠仁の漢字間違ってます! (2022年2月6日 23時) (レス) @page23 id: 2479e15f01 (このIDを非表示/違反報告)
ひながき(プロフ) - プスメラウィッチさん» 五条オチです!!今後もお楽しみください!! (2022年2月6日 2時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
ひながき(プロフ) - 15さん» ありがとうございます!!ゆっくりですが、しっかり更新していきます!! (2022年2月6日 2時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - ひながきさん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張ってください。応援しています(*^^*)楽しみにしています。 (2022年2月5日 21時) (レス) @page25 id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひながき | 作成日時:2022年1月9日 22時