初恋とココア【黒羽快斗】

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白い煙が立ち込める部屋の中で、ショーケースの上に立つ一人の男がニヤリと笑っていた。


ケースの中にはもう、宝石の姿はどこにも見当たらない。



「捕まえろ！」


血相を変えて部下へ指示を出す警部に、彼は更に口角を上げて見せた。



「…………あ」



─────目が、合った。


思わず帽子で顔を隠すように深く被り直す。



それなのに、彼はずっと私を見つめて更には警官たちを上手く躱しながらこちらへ歩み寄ってきた。


動くことも出来ずに立ちすくむ私。



ふわりと宙に浮いた感覚と共に周りからは悲鳴が上がる。


帽子がはらりと落ちたその時、姫抱きされていることにやっと気が付いた。



「ちょ、ちょっと！」



じたばたしながら彼の顔を見ると、彼は綺麗な唇に人差し指を当て、妖しく不敵な顔で笑っていた。









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ひゅう、と冬の冷たい風が頬を掠める。


姫抱きされたまま屋上へと連れてこられた私は、やっと愛しの地面に降ろされた。




「……久しぶりだな、A」



そう言う彼の顔を見た途端、心臓がきゅうう、と締め付けられるような感覚に襲われる。


あの懐かしい顔で笑っている。

……笑っているはずなのに、その顔はどこか苦しそうで、見ていられずに目を逸らした。



「まだキッドやってるんだね、驚いた」


「生憎まだ見つからなくてな」



あぐらをかきながら月に宝石をかざし、「また違うか」とため息をつく彼。


一人分の隙間を空けて隣に座ると、彼は驚いたようにこちらを見た後小さく笑った。









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7→←5

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トランプ銃

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あずきいろ

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黒羽快斗

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