初恋とココア【黒羽快斗】

Epilogue ページ25

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あれから私は、一部のココアだけ飲めるようになった。

というのも、どうやら甘さや苦さの違いはメーカーによる違いらしい。


快斗に話すと真顔でそう返されたのだから、信じる他はない。

……全くあの天才マジシャン、腹が立つ。



けれどコーヒーだって砂糖を入れれば少しは飲めるようになったのだから、やっぱり少しは大人になったということだと思う。



───────ココアやコーヒーは苦くても、恋は苦い、なんて嘘だった。


……否、少しは苦いかもしれない。

けれど、その苦さがあってこそ恋の本当の甘さが引き立つ。


恋には苦さが付き纏うし、むしろそれが恋なのだ。



左手薬指にぴったりはめられた指輪を右手でなぞる。


初恋は叶わないと言うけれど、数年越しに再熱した初恋はしっかり叶ったみたい。



「もうすぐよ！」


隣ではしゃぐ園子ちゃんとそれを宥める蘭ちゃん。


……の横に、高校生のときに名探偵だなんだと騒がれて一躍有名になった工藤新一くん。


彼とも最近仲良くなったのだが、顔や声が快斗と似すぎていて少し怖い。

それに私は快斗の味方だから彼は敵だ。



熱いキッドコールと中森警部のカウントダウン。


その末にやっと姿を現したのは、大胆不敵で神出鬼没の大怪盗・怪盗キッド。


工藤くんは走り出し、すぐさま捕まえる体制に入る。



「It’s a show time! 」




─────目が合う。



にこりと微笑む。



今日も私の大好きな彼は健在だ。









fin.

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