初恋とココア【黒羽快斗】

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それからというもの。



快斗と両思いだということを確かめ合った筈なのに、驚くほど何も無い。


そもそも今の私たちはどういう関係なのかすら分からないのだ。



雪が積もる街を、ひとり歩く。


何組ものカップルたちとすれ違う度に、誰もいない隣を見てしまう。



あれ、そういえば今日って……




「……もしかして、Aさん？」



突然後ろからかかった甘い声。


振り向けば、茶髪の気障な探偵がそこに立っていた。



「やっぱりそうだ。久しぶり」



「……白馬くん」




最近はやけに高校時代の友達との再会が多い。



そんな白馬くんは探偵で、怪盗キッドのライバル。


高校生の時はいつも私に絡んできてうんざりしていたから、彼に良い印象はない。




「彼とはあの後上手くいったのかい？」


「別に、貴方には関係ないでしょ」



何故わざわざそんなことを聞いてくるのか。


私を馬鹿にしているようにしか見えないこの目が、やっぱり苦手だ。




「まぁまぁ、お茶でもどう？」


「急いでるから」



そう言って走って逃げ去ろうとしたのに、一歩を踏み出すその前に私の右手は掴まれ甲にキスをされてしまった。


ぞわりと背中に走る変な感覚と、無駄にイケメンなその顔が私を苛立たせる。




「わ、分かったから………手、離して」



割と強めのトーンでそう言った筈なのに、にこりと笑った彼はお洒落すぎる喫茶店に到着するまでその手を離すことはなかった。




……道中、何度変な視線を感じたことか。









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