アンジュ・エ・デモン 2nd

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2人でご飯を食べるのは、そういえば久しぶり。

だから色んな話をした。






仕事の愚痴も、好きなテレビも、話題はどんどん変わるけど尽きる事は無い。






「そういえばさ、重岡くんに見せたいものがあるんだけど」


「ん、何やった？」


「んーと…コレ！どう、懐かしくない？」







言おう、言おうと思ってずっと言いそびれていた事。




私も、昔同じピアノ教室だった話。

前にお母さんに送ってもらった画像を見せると、重岡くんは目を見開いて相当驚いた顔をしている。








「なんやの、これ！」


「だから、これが重岡くんで、これが…

「じゃなくて！何、覚えとったん？！」


「覚えてたっていうか、思い出した。お母さんに写真写メしてもらったんだー、重岡くんにも送ろうか？」


「おぉ、送って送って！


なんやねん、思い出したなら早言えや」


「なかなかタイミングがさー…。はい、送った！見れる？」







私が送った写真を懐かしそうに眺めてる。




そして、今なら言えると思った。







「あのさ…謝りたかったんだ、私。教室辞める時、重岡くんにキツい事言っちゃったから」


「あー…ええよ、俺も無神経やったし。

泣いてるの見て、何か言わなって焦ったら、あんな言葉しか出て来んかったわ。

さすか子供のボキャブラリーやな。今も変わらんけど」







あははってカラッと笑う顔を見て、ちょっとキュンとした。

優しいんだな、昔からって。







「あの教室で習ったの？月の光」


「おん、せやで。上手く弾けてたやろ」


「うん。今でも弾けるのが凄いよねー」


「言っとくけど、めっっちゃ練習してん、あれ。
夏休み全部費やしたくらい。


おかげでまだ指は覚えとる」


「へー…そんなに好きなんだね、あの曲。

私もマスターしたかったなぁ、そんでさ、高級なレストランとかでピアノ演奏のバイトするの。

あの頃は、それがカッコいいって思ってた」






そもそもピアノを始めたきっかけは、幼稚園卒園のお祝いでちょっと良いレストランへ行って、そこでピアノを弾くお姉さんがすごくカッコよかったから。








「…俺は、好きな子が練習しとった曲やから。

話しかけるきっかけが欲しくて、自分からあの曲先生にお願いして弾かせてもらった」








え…






確か、重岡くんの初恋は






‘タカハシさん’

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