アンジュ・エ・デモン 2nd

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自分でも、あの瞬間は少し思った。





曲中ずっと神ちゃんかピアノだった視線が、一瞬だけどこっちを向いたような気がした時。





ベロベロに酔い潰れてうちに来た時、何か言いかけたのに、危険察知能力みたいなのが働いて思わず遮ってしまった。









「あるんだ、心当たり」



「ある…というか…」









無いとは言い切れない。









「…今夜さ、重岡くんとご飯行くの」


「おぉ、まじ？いいじゃん」


「なんか緊張してきた」


「あはは、何それ。まぁ、じっくり向き合っておいでよ。


誰と一緒にいるのが自分にとって幸せで、楽しいのかって」








百合に背中を押されて迎えた午後6時。







溜めてたデータ入力をしながら、重岡くんの仕事が終わるのを待った。









重岡くん終わった。出られる?








そのメッセージを合図に、入力してたデータを保存して席を立った。









着替えてから会社の前にあるコンビニで待ち合わせ。

真剣に立ち読みしてるのが漫画なのが笑っちゃう。








「お待たせ！ごめんね、遅くなって」


「ん、ええよ。……昨日の感じとえらい差があるな」


「頑張るなって重岡くんが言ったじゃん。それに髪巻いただけだし。



ていうか、重岡くんとの約束ならはじめから頑張らない」


「言うよねー傷つくわ普通に」







ラフな服装と髪型。


それに、重岡くん相手だと考える前にポンポン言葉が出てくる。




それをいつも笑って受け止めてくれるから、この上ないくらい心地の良い時間。






お気に入りのお好み焼き屋さんへ向かって歩き出した。

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