アンジュ・エ・デモン 2nd

66 ページ16

流星くんといると、女の子らしくしようと頑張ってしまう。

あんなにカッコいいんだから、引く手数多で私以外に近づきたい人はたくさんいる。







顔も性格もスタイルも十人並みの私が唯一頑張れるのは、せめて女の子らしく着飾って振舞うくらい。


だからピンクやオレンジの可愛いカクテルを飲んで、大好きなエイヒレや唐揚げよりも野菜スティックとか選んでしまうわけで。







「…お好み焼き食べたい」



「は？」



「え、あ、ごめん何でもない…つい願望が」



「エビチリがっついてる奴が何言うてんの。


つか、ソースついてんで口に」



「うそ、どこ……







自分で取ろうと触った反対の口の横に、重岡くんの指が触れた。




えっ。と思って固まってしまったけど、本人は何も気にしてないらしい。







「俺も食べよっと。うわ、めっちゃ美味いなコレ」







もぐもぐ食べてるのを横目に、人前でなんてことをしてくれるんだと動揺する。







見られた？ねぇ、誰も見てないよね！？！？！？






周りのテーブルを見渡して確認して、誰もこっちを見てない。セーフ！






…と思ったら、最後に視線を送った�霤弔気鵑般椶�合った。







にこーーって人の良さそうな笑顔を向けてそのまま重岡くんと交互に見て来るから、さっきのやり取りに気づいてる絶対。







違うんです！そんなんじゃなくて…っ！！！


って、こんな離れたとこから主張する方が微妙だよな。
何事も無かったように振る舞うと心に決め、気分を変えようと席を立とうとした時。







「高橋」


「は、はい？」


「…来週行くで。お好み焼き屋。どっか美味いとこ紹介して」


「え……」


「じゃ、俺そろそろ余興やから」








そう言って、重岡くんはそそくさと席を立って離れて行った。

67→←65

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す