★誰より愛しい宝物★ ページ48
私のお腹に命が宿っていることを知ったのは
ふわりと全身を包み込むような柔らかな風が、桜を含んで舞っていたうららかな春の日のこと。
嬉しくてたまらなくて、一刻も早くこの喜びを伝えたくて、病院を出たその足で彼の職場に向かった。
お昼休み、彼は職場の片隅にあるお決まりのベンチで昼寝をしていて、お腹の上には私が今朝渡したお弁当が空っぽになって乗っかっていて、
片付けてから寝ればいいのに、なんて一瞬呆れたけれど、小さなことを気にしない大らかな彼らしくて、そこが彼のいいところで、そんな彼が大好きで、大好きな彼との愛の証が私の中に存在してくれてることが更に嬉しくて幸せで仕方なくなった。
抱きついたら飛び上がるほどびっくりさせちゃったけど、私の顔を見て笑ってくれた彼。
「突然どーしたの？」
キョトンとしてる彼に、何も言わずに病院でもらったエコー写真を渡したら、写真を見つめたまま口を開けてポカーンとしたまま固まってしまったから、
「３ヶ月だって」
そう言った途端、彼の目にみるみる涙が溜まって、雫が頬を流れ落ちた次の瞬間、彼は私を抱きしめた。
私にだけ聞こえる嗚咽。震えてる彼の背中に腕を回すと一緒に泣いた。
学生の頃に両親を立て続けに亡くした彼。
ひとりっこだったから、他に身寄りがなくて、ずっとひとりで生きてきた。
過酷な環境の中でも、優しさを失わずに生きてきた彼が、本当は家族を求めてたことを私は知ってる。
やっと…家族を作ってあげられる。
「絶対に幸せにする。結婚しよう」
耳元で囁かれた愛の言葉に、
返事の代わりに彼にキスをして、おでこを合わせて二人で笑ったあの日、
春の風と、彼の温もりに包まれていた私は、
世界で一番の幸せ者だった。
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愛 - 続きはまだでしょうか？急かしてるわけではなく、純粋にこのお話が好きすぎて続きが気になるんです！更新待ってます。 (2019年7月26日 23時) (
レス) id: 88c3d5de1a (このIDを非表示/違反報告)
すこ - 引き込まれました。キャラクターたちの心情を、一人ひとり大事に大事に書かれてるように思います。切なくて、でもお互いを大切に思っていて、すごく素敵な作品だと思います。次の更新を楽しみにして待ってます。 (2019年7月4日 1時) (レス) id: ca0d230652 (このIDを非表示/違反報告)
atu66mi67yu129(プロフ) - 更新ありがとうございます。廉くんとは…ならないんですかねぇ…これからも楽しみに待ってます。頑張ってください。 (2019年7月3日 7時) (レス) id: c65eb063a4 (このIDを非表示/違反報告)
シー(プロフ) - 1から6まで一気に読んだくらい本当に面白いです！更新頑張ってください！！ (2019年7月1日 7時) (レス) id: dfd347ea96 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - こんなに引き込まれた小説は久しぶりで、一気に読みました。続きを楽しみにしています。 (2019年6月11日 14時) (レス) id: e8aeac1cf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2018年10月22日 8時
