その人は２ー高梨 ページ18
自分で言うのもおかしな話だけれど、この業界に２０年近く身を置いてきて色々な種類の人間と関わってきた経験故に人を見抜く力はあると思う。
目は口ほどに物言うという言葉通り、その人の目を見れば、その人がどんな人間なのかおおよその見当はつく。
目の前の永瀬さんは
紫耀に対して厳しい言葉を並べながらも、その目に紫耀への軽蔑の色は見られなかった。
紫耀の”それ以外の一面”を認めている、そんな気がした。
永瀬さんと彼女が過ごした時間の中で、何があったのかは知らないけれど、なかなかできることじゃない。
大きな心の器の持ち主だ。
だからこそ、私も知りたかった。
彼女は永瀬さんを選んだ。
それなのになぜ、会社の立場を利用してまで紫耀に会いたいと思ってしまったのか。
下手をしたら事務所の怒りを買い、会社での立場も悪くなり、この業界に身を置くことも難しくなるかもしれない。
そんなリスクを冒してまでなぜ、、
「そんなことを知ってどうなさるんです？
彼女は、永瀬さんを選んだんだからそれで良いじゃないですか」
思わず、口をついて出てしまった言葉に永瀬さんは唇を噛んだ。
「…高梨さんは…２人のことをどこまで知ってるんですか？」
「私もそんなには知らないです。紫耀は、長い間彼女の存在を誰にも言わないで私にも隠してましたから。
ただ、幼い頃から紫耀の心の支えでいてくれた、
紫耀の為に、すべてを１人で背負ってくれたことだけは分かっています」
そう言うと、永瀬さんの目の色が一気に変わった。
「…せやから、腹が立つんです。
なんもかんも背負わせておいて、自分は遊びまわって好きなことして…事務所に守られて…
その裏でどんな思いであの人が生きてきたんか…ほんまに分かってるんか聞きたかった…！」
「それは…紫耀も知らなくて…「知らんかったら何してもいいんですか？」
私の言葉を遮り話すその目にははっきりとした怒りが宿っていた。
「心の支えにするほど大事な人なら、どんな手を使ってでも探し出したら良かった。
それもせえへんと遊びまわって、そんなん卑怯や」
「……」
「すいません、あなたに言っても仕方ないことやのに…」
丁寧な口調とは裏腹に、
手が白くなるほど拳を握り締める姿から、痛いほど心の内が伝わってくる。
…この人は、心の底から彼女を愛しているんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 978人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「平野紫耀」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
愛 - 続きはまだでしょうか？急かしてるわけではなく、純粋にこのお話が好きすぎて続きが気になるんです！更新待ってます。 (2019年7月26日 23時) (
レス) id: 88c3d5de1a (このIDを非表示/違反報告)
すこ - 引き込まれました。キャラクターたちの心情を、一人ひとり大事に大事に書かれてるように思います。切なくて、でもお互いを大切に思っていて、すごく素敵な作品だと思います。次の更新を楽しみにして待ってます。 (2019年7月4日 1時) (レス) id: ca0d230652 (このIDを非表示/違反報告)
atu66mi67yu129(プロフ) - 更新ありがとうございます。廉くんとは…ならないんですかねぇ…これからも楽しみに待ってます。頑張ってください。 (2019年7月3日 7時) (レス) id: c65eb063a4 (このIDを非表示/違反報告)
シー(プロフ) - 1から6まで一気に読んだくらい本当に面白いです！更新頑張ってください！！ (2019年7月1日 7時) (レス) id: dfd347ea96 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - こんなに引き込まれた小説は久しぶりで、一気に読みました。続きを楽しみにしています。 (2019年6月11日 14時) (レス) id: e8aeac1cf5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ピナパル
| 作成日時：2018年10月22日 8時
