透明造花 [Koki.K] (ページ4)

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だから、

「…皇輝くん、好きだよ」
「ユズ」

目の前に広がる光景を受け入れられなかった。
自分の目を疑う方が早かった。

放課後の教室、普段なら誰よりも早く家路につく私だから、皇輝も油断してたのかもしれない。

その日はたまたま皇輝が委員会の仕事で帰れなくて、いつもは二人だけど私一人で帰ろうとして、途中でスマホを机の引き出しに忘れていることに気づいて、それから、それから……

「一番じゃなくてもいいから。ね？お願い」
「いや、」

自分の教室のドアを開こうとした時目に飛び込んできたのは恋人と自分の後輩が抱き合っている姿。

人って本当に驚くと瞬きの仕方さえ忘れるらしい。

こんなの、見たくないのに。今すぐココから逃げ出したいのに。

足は鉛のように重くなって身体が固まって動けない。

心臓もばくばくと音が聞こえてきそうなくらい激しく動いて、息は過呼吸になったみたいに下手くそにしか吐き出せなかった。

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