あの後 ページ9
いつもより遅い時間に帰ったAを、四葉が門の所で待ち受けていた。
「Aちゃん! だいじょ……!?」
途中でその言葉が止まる。
悲しそうな、泣きそうな表情になったかと思うと、駆け寄ってきて、ギュッと抱きしめられた。
「お姉ちゃん……?」
「また、そんな無茶して……!」
四葉の頭が乗っている肩が濡れる。
自分がこの姉を泣かせているのかと思うと、どうしようもなく悲しい気持ちになった。
「取り敢えず、中入ろっか。手当しなきゃね」
涙をさり気なく拭いて、いつもと変わらぬ調子で言う。
Aの手を握って、一緒に塾の中へと入っていった。
他の皆はまだ授業中なのか、Aの部屋に入るまで誰とも出くわさなかった。
四葉がわざわざ授業を抜けてまで待っていてくれた事への申し訳なさと嬉しさが、胸の中でゴチャゴチャになる。
「ほら、座って」
そう促されて、四葉の目の前にゆっくり腰を下ろす。
手当をしてくれる四葉の手はいつもより少し急ぎ足で、それだけ大怪我なんだろうなと、どこか他人事の様に思う。
少しして、全ての手当が終わったのか、また頭を引き寄せられてギュッと抱きしめられる。
「……もう、こんな無茶しないでね」
震えるその声に、いつもの様に「はーい」なんて返事は出来なくて。
「……うん」
片方しか使えなくなった目から涙を流しながら、何度も頷いた。
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ゆず(プロフ) - 緋澄さん» 1話目ができ次第、公開させていただくつもりです (2019年6月19日 17時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 時雨さん» 申し訳ありません、実は、続編は準備しただけでまだ1話も書いていないんです・・・! (2019年6月19日 17時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
緋澄 - 続編を読みたいのでパスワードを教えて下さい (2019年6月19日 14時) (レス) id: d02144b3e7 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 続編が、読みたいのでパスワードを教えてください。 (2019年6月18日 23時) (レス) id: bfac637d1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年4月5日 20時