木刀 ページ7
「1本!」
「これで140勝、と」
「調子に乗ってられんのも今のうちだかんな」
今日も今日とて、Aは兄達3人の稽古を眺めていた。
その髪では、あの三日月が光を反射して輝いている。
「Aも、やってみますか?」
ぼーっとしていると、松陽に急に声をかけられて、思わずビクッとする。
『やってみますか』が剣の事を指しているのだと気付いて、目を輝かせながら大きく頷いた。
兄達はいつも、木刀を握っている時が1番楽しそうだった。
それに憧れて、Aもしてみたいと思っていたのだ。
松陽に渡されて初めて持った木刀は思っていたよりも重くて、身体が思わずふらついてしまった。
兄達がいつもしている様に、素振りをしてみる。
力が必要で大変だったけれど、ワクワクが溢れ出てきた。
それからというもの、Aは稽古に夢中になった。
松陽や兄に教えてもらいながら、真剣に、楽しそうに。
元々の運動神経と才能が手伝ってか、メキメキと上手くなっていった。
「またこんなに傷作って……女の子なんだから、気を付けなきゃダメだよ?」
Aが松陽に拾われてから、4度目の桜が散った頃。
7歳になっていたAは、ヤンチャ盛りで元気が有り余っているのか、近所の同年代の男子と喧嘩しては、見事な勝率を誇っている。
四葉がため息をつきながらその手当をするのが、ほぼ毎日のように見られる光景となっていた。
「はーい」とAは応えるが、生返事だ。
明日も同じ会話をする事になるんだろうなと思った。
「ありがとう、
……でもこんなにも可愛い笑顔でお礼を言われては、怒る気が失せる。
四葉は諦めて、自らを姉と呼んでくれる可愛い妹の頭を優しく撫でた。
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ゆず(プロフ) - 緋澄さん» 1話目ができ次第、公開させていただくつもりです (2019年6月19日 17時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 時雨さん» 申し訳ありません、実は、続編は準備しただけでまだ1話も書いていないんです・・・! (2019年6月19日 17時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
緋澄 - 続編を読みたいのでパスワードを教えて下さい (2019年6月19日 14時) (レス) id: d02144b3e7 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 続編が、読みたいのでパスワードを教えてください。 (2019年6月18日 23時) (レス) id: bfac637d1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年4月5日 20時