あはれとも

ごめんなさいとありがとうと、 ページ37

坂田銀時様




拝啓。突然こんな物を貰って、驚いている事と思います。でもどうしても伝えたい事があって、筆を取りました。


１つ目は、ごめんなさいの言葉。２つ目は、ありがとうの言葉。それから、もう１つ。



まず、勝手に江戸なんかへ行く事になってごめんなさい。相談どころか伝えなかったんだから、怒るのも当然だと思う。本当に、ごめん。


言い訳をさせてもらうと、言わなかったっていうよりも、言えなかったの。銀時に直接伝えたりなんかしたら、決心が絶対に揺らぐと思って。行くなって言ってくれる事を期待しちゃうと思って。行かないだなんて選択肢、最初から私に用意されてないのにね。だから私は、銀時に言えなかった。貴方だけじゃなく他の皆にも言わなかったのは、銀時に伝わって欲しく無かったからよ。でも、本当にごめんなさい。



次はお礼。銀時にお礼を言わなきゃいけない事なんて数え切れないくらいあるけど、時間が無いから１つだけ。


４年前、私が凄く荒んでた時の事覚えてる？家で色々あって、関係無い皆にまで八つ当たりとかしちゃってて、今でも凄く反省してるんだけど。そんな時銀時は、皆が私を遠巻きにする中で、少しも普段と変わらなかった。変わらずに接してくれた。私にはそれが、凄く嬉しかったの。


貴方にとっては当たり前の事で覚えていないかもしれないけど、私は一生忘れないと思う。本当に本当に、ありがとう。



最後。もう会える事なんて無いと思うから、勇気が無くて言えなかった言葉を、今これで伝えます。私はずっと、貴方の事が好きでした。４年前から、ずっと。伝える勇気が無くて、言えなかった。


それに私、心のどこかで分かってたんだと思う。私に自由は無いんだって。叶わないなら最初から伝えなくて良いと思ったのかもしれない。でも、心に嘘はつけないね。結局今伝えているんだから。



貴方は優しいから、もしかしたら私の事をずっと忘れないでいてくれるかもしれない。私が伝えた言葉を、忘れないでいてくれるかもしれない。でも、良いんだよ。私の事なんてさっさと忘れて、仲間と楽しく過ごして、大人になって。それが私には、１番嬉しい事だから。約束よ。



Aちゃんの事、皆の事、よろしくね。



敬具




笠井四葉

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