エチュード(JUMP×JUMP短編集)

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つぅ、と
目尻から涙が一筋こぼれ落ちた。



「…っえ、いのちゃん泣いてるの？
痛かった？」


急に慌てたひかるの声がして、ぶんぶんと首を振る。


「ふ、んーん、…
違う、違うの。

嬉しいの。ひかると、ひとつになってるから…」




ひかるは驚いた顔をして、はぁ、と溜息をついた。


「かわいすぎ…」

ひかるが幸せそうに漏らした言葉に、俺の心はどうしようもなく温かくなった。


「、動くよ？」


ゆっくり動き出したひかるは、俺が気持ちよさそうだとわかった途端ガツガツと腰を振った。
目の前がチカチカしてきた。


「ぁ、あんっ…や、」


何もわからない。
グチュグチュと泡立つ水音が、
肌がぶつかる音が。


ただ、気持ちいい、

ただ、幸せ。



「…っ慧、出すよ…！」






その声で爆ぜた。







はぁ、はぁ……


お互いに荒い息を吐いて、ひかるは俺に倒れ込んだ。
ぎゅう、と抱きつかれると、汗ばんだ肌とか、ドクドクと速い鼓動とか、なんだか全てが愛おしい。


「…も、ひかる…
いきなり名前で呼ぶの反則だからな…」


俺が尖らせた唇を、ひかるはニッと笑って啄んだ。




教えてもらうばっかの俺じゃない。
お菓子作りとは違うんだ。
正しい材料も、
正しいタイミングも、
きっと俺たち次第。




ただ、お互いのことを考えて、愛しいという気持ちを持っていれば…


きっとそれは、美味しく仕上がる。








レシピは要らない＊fin

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