不思議の国の住人3 ページ19
’
そうか、わかった
彼の住む不思議の国では「可愛い」が挨拶なのだろう それならば納得できる
「そうか、そういう事なのか」
「何がそういう事なの?」
思わず口に出てしまっていたみたいだ
「……いや、ちょっと考え事をしてただけ」
慌ててごまかす
「考え事って僕のことでしょ?」
不思議の国の住人のくせに 変な所だけ感が鋭いのは辞めていただきたい
「やっぱりそうでしょ?僕の何を考えてたの?」
適当なことを言って誤魔化そうとした思ったが どうやら脳はまだ完全には覚醒していなかったようだ
何も思いつかなかったので正直に話す事にした
「……えっと、ジュン氏が私に可愛いってたくさん言ってくるでしょ? だからジュン氏が住む世界では可愛いって言葉が挨拶なのだという結論に至ったわけなのだよ」
すると彼は目をパチクリさせて そして笑い出した
「どうしたの? Aちゃんらしくない発言」
今さらになって気がつく
これじゃまるで私が不思議の国の住人みたいではないか 恥ずかしさがこみ上げて来る
「僕はね 本当に可愛いって思った時にしか言わないよ。 Aちゃん、可愛いっていう度に照れて隠そうとしてるでしょ?それが可愛くてまた何度も言っちゃうんだよ」
そうサラッと彼は答えた
「不思議の国のムンジュンフィのくせに」顔を真っ赤にして そう日本語で呟いた
‘
939人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:キンモクセイ | 作成日時:2019年10月20日 23時