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『翼は僕で、僕は翼
あの日、翼が僕を殺した
次は、僕が翼を殺すよ』
翼「…郁になら、殺されたっていいよ
次だって、またお前のそばにいる
…郁……っ、生まれ変わっても…また一緒だ
また、俺の弟になってくれるか？』
『僕たちは双子で、2人で一つなんだから"大丈夫"
また会おう…ううん、また会える
…ありがとう、僕のヒーロー』
郁は震える手で翼に触れ、翼も震える手で郁に触れた。
翼の白い頬に一筋の涙が流れる。
ゆっくりと崩れ落ちていく郁にゆっくりと霞んでいく翼。
"そのことが意味することは一つだ"
「郁！！」
悲鳴や叫喚が辺りを包む。
急いで駆け寄ると、倒れている郁の胸にはポインセチアが突き刺さっていた。
現実的には考えられない。
そして、一滴の血も流すことなく心臓は動きを止めていた。
急いで病院に搬送されたが、郁の心臓が再び動くことはなかった。
この事件は体育祭の時以上に国中で、いや世界中で話題になった。
【若き少年のあまりに悲しすぎた人生】
【被害者からヴィランへと転落した少年】
【悲痛な現実、その命を持って伝えた声】
新聞も週刊誌も面白おかしく、まるで主観であるかのように書き綴り、郁を悲劇の主人公のように見せた。
だが、世間の声は綺麗に飾られた言葉など投げ捨て、《幽辺 郁》という少年を尊び、敬った。
尊い命を犠牲にして、世間は多くのことに気がつき、知ったのだ。
郁の言葉は世界中で広まり、法の改正や改善への対応を求める声が大きくなっている。
郁が去って半年が経っても、どの話題にも埋もれることはなかった。
葬儀はひっそりと行われた。
いつの間にか、家に置かれていた遺書にそう書かれていたのだ。
郁の願いだった。
笑っている両親の写真と、笑顔の翼の写真…
そして、その隣には新しく微笑みを浮かべた郁の写真が並べられていた。
悲劇だとか、可哀想だとか、哀れだとか。
世間ではそんな声もある。
だが、きっと郁が選んだ正解だったのだと思う。
俺たちが判断できることではない。
これは、俺たちに言えることはないのだ。
まだ大きく変わらない世界だが
あの時お前が言ったように
きっと変わっていく。
俺から言えることは一つだけだ。
お前たちはきっと、“正義“だった。
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ハデス - 普通に番外編として小説で世に出せるよねってくらいいい話でした。何度読んでも面白い。完結おめでとうございます (7月17日 12時) (
レス) id: b5ef1167b7 (このIDを非表示/違反報告)
ぬ - 一気読みさせて頂きました…こんなに泣ける小説初めて読んだ…これ無料でいいんですか…！？本当に素敵すぎる作品を生み出してくださってありがとうございます…！！！ (2023年3月30日 8時) (レス) @page19 id: 267167a797 (このIDを非表示/違反報告)
引きこもり隊 - 読んでてこんなに泣いたの初めてだ。もう、本にして売れると思います。素晴らしい作品を作ってくれてありがとうございます。 (2022年8月6日 16時) (レス) id: af8345609d (このIDを非表示/違反報告)
ニャノこ - とても感動しました。これまで色々な話を見てきましたがこれほど自分の中で共感できる話はありません。翼くんと郁くんがまたあえることを願っています。 (2022年7月27日 22時) (レス) @page19 id: 7687561dfd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 物凄く感動しました。終わり方も物凄く綺麗で納得の行く感じで、占ツク中毒者ですがここまで素晴らしいと思った作品は初めてです。これを無料で読めるこの世界に感謝、っていうレベルです。笑 書いて、共有してくださり本当にありがとうございました！ (2022年5月1日 1時) (レス) @page19 id: b375adba0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すえさん
| 作成日時：2019年10月25日 7時
