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少年を家へ送り届けると、3人は示し合わせたように郁の前に現れた。
緑「やっぱり、郁くんだったんだね」
勝「長々とくだらねぇ芝居しやがって
もう言い訳はできねぇぞ」
轟「幽辺、俺たちはお前のことがちゃんと知りてぇんだ」
郁は少し疲れたように3人を見ると、はぁと息を吐いた。
『…隠し通せるはずだったのに
流石に今日のことは予想外だった』
自嘲の笑いを浮かべる郁に爆豪は苛立ったように近寄り胸元を掴み上げた。
郁は抵抗することもなく、自分を睨んでいる爆豪と目を合わせる。
勝「てめぇの嘘のせいでこっちは散々迷惑被ったんだ
全部吐きやがれ
なんで急に尻尾出しやがった」
『……悲しいからだよ
帰ってこない人を待つ姿を見るのは辛いだろ
…助けるつもりなんてなかったのに
自分より大切なものを失うのって可哀想じゃない
無視できなかっただけ
あの日の自分と重なった
だから、時たま彷徨う霊を成仏させてる
ただそれだけ』
郁は疲れたように弱々しい声でボソボソとそう呟いた。
緑「…どうして最後に会わせてあげなかったの？
きみなら顔を見せることもできたのに」
『…最後の記憶は人に住みつくんだ
特に心の弱い人間に
最後の別れが出来ることが至上だと考える人もいるけれど
そんなの何も知らないお気楽人間の理想論だ
記憶は人を閉じ込めて、人の時間を止める
……その気持ちはよくわかるから』
勝「とにかく、学校戻って担任に伝えんぞ」
『逃げないから離してよ』
郁は爆豪の手を振り払うと翼の姿を可視化させた。
翼は3人を見た後、何も言わずに郁の横を歩く。
並んで歩く2人は側から見ればなんの変哲もない兄弟に見えるのに、その間には生と死という大きく残酷すぎる境界線があった。
歯車は回り出した。
緑「郁くんが戻りました」
偶然だった。
ただの偶然にして、運命の巡り合わせだったのかもしれない。
《速報です》
職員室に置かれたTVからアナウンサーの声が響く。
《3年前の中学生殺人事件の遺族側による上告の判決がでました。
最高裁は、非道な行いではあるが残虐性は見えず被告は幼少期粗悪な家庭環境にあったため情状酌量の余地があるとして、懲役10年を言い渡しました。
被害者は幽辺翼さん当時13歳で、両親は………》
空気が変わる。
和やかだった職員室がシンと静まり、凍てつくような冷たさと重さが広がった。
『……はは』
____________やっぱり間違ってた
これが運命だった。
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ハデス - 普通に番外編として小説で世に出せるよねってくらいいい話でした。何度読んでも面白い。完結おめでとうございます (7月17日 12時) (
レス) id: b5ef1167b7 (このIDを非表示/違反報告)
ぬ - 一気読みさせて頂きました…こんなに泣ける小説初めて読んだ…これ無料でいいんですか…！？本当に素敵すぎる作品を生み出してくださってありがとうございます…！！！ (2023年3月30日 8時) (レス) @page19 id: 267167a797 (このIDを非表示/違反報告)
引きこもり隊 - 読んでてこんなに泣いたの初めてだ。もう、本にして売れると思います。素晴らしい作品を作ってくれてありがとうございます。 (2022年8月6日 16時) (レス) id: af8345609d (このIDを非表示/違反報告)
ニャノこ - とても感動しました。これまで色々な話を見てきましたがこれほど自分の中で共感できる話はありません。翼くんと郁くんがまたあえることを願っています。 (2022年7月27日 22時) (レス) @page19 id: 7687561dfd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 物凄く感動しました。終わり方も物凄く綺麗で納得の行く感じで、占ツク中毒者ですがここまで素晴らしいと思った作品は初めてです。これを無料で読めるこの世界に感謝、っていうレベルです。笑 書いて、共有してくださり本当にありがとうございました！ (2022年5月1日 1時) (レス) @page19 id: b375adba0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すえさん
| 作成日時：2019年10月25日 7時
